第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

ポスター

ポスター3

[P] ポスター3

2019年12月15日(日) 12:30 〜 13:30 ポスター会場 (東館3階 D会議室)

[P-61] 当院外来RA患者における介護保険利用者の実際
H26年~H30年の5年間の継続症例の介護度内訳とサービス内容について

*阿部 敏彦1 (1. 田窪リウマチ・整形外科 リハビリテーション室)

キーワード:生活支援、関節リウマチ、介護保険

【はじめに・目的】
関節リウマチ(RA)における理学療法士の役割は、Total Managementのもと、医療の現場のみならず様々な患者を取り巻く環境に適応する能力が求められている。今回外来通院加療場面での介護保険利用者の現状を調査したので報告する。
【方法】
当院外来通院RA患者においてH26年1月~H30年12月の5年間、介護保険利用(当院院長主治医として意見書提出のみ)患者175名(女性161名、男性14名)の内、転院、死亡その他の要因にて追跡不能26名を除く149症例を対象とした。5年継続して介護保険利用者30名の内調査項目不備のない25症例(全例女性、平均年齢76.1歳、平均罹病期間23.7歳)について精査した。調査項目は、H26年およびH30年時の日本リウマチ学会薬効委員会によるADL評価(上肢、下肢各5項目、各項目5段階0:普通、4:不能、合計0~40点)、10m歩行速度、介護保険サービス内容(生活支援、身体介護、訪問看護、通所、福祉用具、家屋改修)の有無を調べ、症例の現在のmHAQ(機能的寛解の判定となる)も調査した。
【結果】
各年毎の介護保険利用者数とその介護度内訳は、H26年78名(50、28)、H27年95名(56、37)、H28年77名(49、28)、H29年85名(59、26)、H30年76名(54、22)であった(要支援者数、要介護者数)。
<5年継続した介護保険利用者25名について>
薬物療法においては、Bio製剤利用者10名でH26年時のADL平均得点(上肢12.2点、下肢14.5点、合計26.7点)、H30年時(上肢12.8点、下肢12.9点、合計25.8点)となり、平均10m歩行速度は、H26年15秒2,H30年12秒8と全体平均では機能向上がみられたが、H30年には4症例が実用歩行不可となっていた。症例の現在のmHAQ平均得点は、1.395点で機能的寛解者は3名のみであった。
各年毎の介護度の内訳は、H26年要支援1:13、2:6、要介護1:2、2以上:4、H27年要支援1:11、2:8、要介護1:2、2以上:3、H28年要支援1:8、2:7、要介護1:4、2以上:6、H29年要支援1:8、2:6、要介護1:5、2以上:6、H30年要支援1:7、2:6、要介護1:2、2以上:10であった(数字は人数)。
介護サービスの内容の変化については、H26年でのサービス利用度生活支援:14、福祉用具:9、通所並びに住宅改修:3、身体介護:2、訪問看護:0、H30年では、生活支援:15、福祉用具:10、通所:7、身体介護:3、訪問看護並びに住宅改修:0であった。
【結論】
RAの治療の根幹となるT2T管理の下、医療の側面が強調されがちであるが、5年継続可能なRA患者において機能的寛解者が3名(全体の12%)で、5年間で介護度が3段階以上低下した症例が、7例(全体の28%)をしめ、疾患の活動性のみならず高齢化、骨粗鬆症を伴う骨折等、原因をより明確にするともに、PTが患者の行動力を広げる舵取りとなり多方面へのアプローチを考える必要があろう。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究における歩行計測、ADL評価は外来リハ初診時または3ヶ月毎の理学療法施行時、介護保険利用者に対する介護保険の介護度の内訳やサービスはリハ実施計画書並びに介護保険新規並びに継続時、本人並びに家族、ケアーマネージャー等参加にて評価項目の中に入っており患者の署名にて同意を得て介入している。