第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター3

[P] ポスター3

Sun. Dec 15, 2019 12:30 PM - 1:30 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-75] アンケート調査による当通所介護利用者の利用ニーズの傾向

*是澤 卓実1、松澤 雄太2、福榮 竜也2、福永 誠司2 (1. 星空の都 デイサービスセンターみまた、2. 藤元総合病院)

Keywords:通所介護、アンケート、利用ニーズ

【目的】
地域包括ケアシステムにおける通所介護の役割として、介護者の負担軽減の為のレスパイト機能を担う他、重度の要介護者等を積極的に受け入れ、自立支援や重度化防止の推進を図る事が挙げられる。平成26年の「通所介護のあり方に関する調査研究事業」によると、利用ニーズはレスパイト機能が割合の多くを占めると報告されているが、今後はレスパイト機能に加え、通所介護におけるリハビリのニーズは高まると想定される。当通所介護では利用者の介護度内訳が幅広く、多様なニーズを把握する事は、サービスの質向上に繋がると考えられる。また、性別、要介護度別でニーズの傾向を調べた報告は少なく、不明確である。本研究の目的は、当通所介護利用者にニーズに関するアンケートを実施し、性別及び要介護度別でのニーズの傾向を明らかにする事である。
【方法】
平成31年3月時点での当通所介護利用者46名(81.4±8.9歳)(男性18名、女性28名)を対象とし、内訳は要支援群14名、要介護軽度群(要介護1~2)17名、要介護重度群(要介護3~5)15名である。アンケート調査は口頭にて実施し、①「利用目的」4項目(リハビリ・社会的交流・閉じこもりの解消・家族負担の軽減)、②「最も重要なサービス」5項目(リハビリ・入浴・食事・レクリエーション・創作活動)についてそれぞれ単一回答とし、利用者本人が回答困難な場合は家族から聴取した。統計学的分析は①②それぞれの結果の偏りをχ²適合度検定、性別及び要介護度と結果①②の関連性をフィッシャーの正確確率検定にて分析した。統計ソフトはR-2.8.1を使用し、有意水準は5%とした。
【結果】
アンケート回答率は100%(本人回答38名、家族回答8名)であった。χ²適合度検定より、②の結果に有意な偏りを認め(p<0.01)、リハビリ35%、入浴39%、食事17%、レクリエーション4%、創作活動4%であった。フィッシャーの正確確率検定より、要介護度と②に有意な関連を認めた(p<0.01、V=0.47)。調整済み標準化残差より、要支援群は食事(2.17)、要介護軽度群はリハビリ(1.98)、要介護重度群は入浴(4.00)に有意な偏りを認めた。性別において有意な関連を認めなかったが、①において男性はリハビリ(44%)、女性は社会的交流(39%)が最も多い結果となった。
【結論】 アンケート結果より、要介護度と「最も重要なサービス」の項目に有意な関連を認め、要支援群は食事、要介護軽度群はリハビリ、要介護重度群は入浴のニーズが高いことが示唆された。レスパイト機能が大きな役割を占めると報告されているが、当通所介護では要介護度に応じた利用ニーズに合わせて積極的なリハビリを提供し、自立支援や重度化防止に取り組む必要性が高いと考えられる。また、男女間で利用目的に異なる傾向があり、性別を考慮してサービスの提供を行う必要性も示唆された。本研究は、サービスの質向上に向けた取り組みの再考に繋がる一助となった。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は、藤元総合病院の倫理委員会の承諾を得た(申請番号022)。また、研究概要及び方法を対象者へ説明し、同意を得た上でアンケートを実施した。尚、当研究は開示すべき利益相反は無い。