第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-88] 特別支援学校を卒業する脳性麻痺児の地域移行におけるリハビリテーションマネジメントの実践

*新井 健司1,2,3、小野 雅之1,2、大森 豊1,2,3、出澤 健一郎1,2 (1. 株式会社 かわさきハートネット、2. 川崎市中部リハビリテーションセンター 井田障害者センター・在宅支援室、3. 訪問看護リハビリテーション麻生)

Keywords:障害児、多職種連携、リハビリテーションマネージメント

【はじめに、目的】
身体・知的・精神障害を有し特別支援学校に通学する障害児は18歳を境に制度上も進路先を検討する必要がある。これらの時期には本人・家族のみならず、学校側などの支援者も様々な苦労をしている。都市部においては就労移行支援事業所の増加や進学の選択肢も増えてきており、進路先の多様化も進んできている。その結果、特別支援学校卒業後の進路先として、就労者は年々増加傾向にある。しかし依然として、約半数以上の児童が、社会福祉施設等に入所・通所しているのが現状である。
社会福祉施設等においては、個々に応じて個別支援計画が作成され、計画に沿って支援が展開されている。しかし、支援者側が疾患の特徴や予後予測の知識が十分でないため、モニタリングや変化に応じた計画の変更に困難を強いられることもある。さらに、共生社会の実現に伴う「活動や参加」といった要素も重要となってきている。したがって、そこにはICFを軸とするリハビリテーションマネジメントが必要である。
川崎市では、独自のノーマライゼーションプラン等に基づき、川崎市中部リハビリテーションセンター(当センター)が開設された。当センターでは、地域包括ケアシステム推進の観点から、全ての地域住民がその地域で安心して生活できるように支援する役割を担っている。
今回、当センターの理学療法士が特別支援学校や他事業所と連携を図りながらリハビリテーションマネジメントを行い、特別支援学校を卒業する脳性麻痺児の円滑な地域移行ができた実践例を報告する。
【対象と経過】
対象者は、18歳男性。低出生体重児に伴う、痙直型とアテトーゼ型の混合脳性麻痺児である。ADL全般に介助を要するが、足で操作できる電動車椅子を使用しての移動は自立。療育手帳はB1。特別支援学校卒業前から、当センターの理学療法士が関わり、本人・家族の意向を聞き取りながら、卒後の進路先を検討した。また、身体機能・生活状況を評価し、ICFで問題点を抽出した。問題点としては、リハビリテーション継続のための社会資源と社会福祉施設移行後の活動と参加であった。そして、問題点に対する対応、疾患の特徴や予後予測も含め、関連する事業所と情報共有を行った。
【結果】
リハビリテーション継続の地域資源に関しては、地域療育センターから訪問リハ事業所へと移行することができた。そして、予見される変化に関して同様の見解を共有できた。現在、身体機能を最大限に生かし、写真撮影が可能となる福祉用具の導入を検討している。今後、施設の広報活動を役割として、活動と参加を進めていくために定期的なモニタリングを行うことになった。
【結論】 特別支援学校卒業後における障害児の地域移行に関して、ICF・疾患の予後予測の観点を基にした理学療法士のリハビリテーションマネジメントが活かせる可能性が十分にある。地域における多職種と連携して、障害児の社会的支援を行う必要がある。

【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき、本研究の目的を説明し、書面にて同意を得た。