日本デザイン学会 第69回研究発表大会

講演情報

口頭

[8A] デザインシステム・形態、構成・グラフィック

2022年6月25日(土) 09:00 〜 11:00 口頭発表 第8会場

座長:出原 立子 (金沢工業大学)

10:40 〜 11:00

[8A-06] 知的障がい者グループホームにおける居室サインのグラフィック制作

グラフィックデザインの抽象度の観点から

*星野 純平1、工藤 真生2、緒方 克也3 (1. 九州大学大学院芸術工学府、2. 九州大学、3. 障害福祉サービス事業所JOY倶楽部)

キーワード:Graphic Design, Sign, Intellectual Disabilities

近年、インクルーシブデザインへの注目から、デザインを人中心で捉える考え方が重視されている。サインは人と環境を結びつけるためのデザインであり、誰にとってもわかりやすいデザインの検討が必要である。
本研究では、サインにおけるグラフィックのデザイン条件を明らかにし、知的障害を有する人を対象とした調査手法を検討することを目的とした。そこで、知的障害を有する人が居住するグループホームにおいて、個人の居室を直裁的にわかりやすくするために、各居室ドアに設置するサインのグラフィックデザインを制作、提案した。グループホームに居住する成人知的障害者10名を対象として、主にサインにおけるグラフィックの抽象度(具象・半抽象・抽象)の好みに着目し、調査を実施した。
サインにおけるグラフィックの抽象度は具象が好まれることがわかった。提案デザインでは調査結果と周辺環境との調和を考慮し、グラフィックをデザインした。知的障害を有する人を対象とした調査では、意思をできるだけ正確に読み取るために、同じ質問を複数回することが必要である。長期的な信頼関係の有無によって汲み取ることのできる情報量が大きく変わることがわかった。