第45回風力エネルギー利用シンポジウム

会長挨拶

第45回風力エネルギー利用シンポジウム開催にあたって



   
 

一般社団法人日本風力エネルギー学会会長

三保谷 明

ジャパンウィンドエンジニアリング


日本風力エネルギー学会会員ならびに風力エネルギーに関心をお持ちの皆様
 
 発生以来4年が経過しコロナ禍が漸く収束に向かいつつある一方、ウクライナ戦争やパレスチナでの悲惨な戦禍の拡大ばかりでなく、国際情勢がますます不安定化する状況の中で、我が国においては、エネルギーの安定供給わけても国産の再生可能エネルギーの大規模かつ急速な導入確保が更に喫緊の課題となっており、再生可能エネルギーの中でも特にポテンシャルが膨大な洋上風力発電の導入拡大への期待が高まっております。
 
 政府は2050年カーボンニュートラル達成に向けた実行計画を策定し、洋上風力についても野心的な導入目標を発表するとともに、2021年から洋上風力促進区域の第1ラウンドの3海域の入札、2023年には第2ラウンドの公募が行われ、浮体式洋上風力についても、2022年度から低コスト化のための技術研究開発のフェーズ1がスタート、本年度は本公募に向けた浮体式実証のフェーズ2の候補海域が示され、これら一連の施策がいよいよ実行段階に入り、風力エネルギーの利用拡大に結び付くことが期待されています。また昨年から今年にかけて、港湾区域等3地点で大型洋上ウィンドファームが建設され、一部は既に運開するなど、我が国における洋上風力は着実に進んでいます。
 
 本年度のシンポジウムは、このような洋上風力導入拡大の状況を鑑み、第1日目の午前には、招待講演Iとして、所轄官庁の政策責任者による今後の方向性と風力エネルギーに係る最新情報についてご講演をいただき、招待講演IIでは、洋上風力プロジェクトに取り組む各社から「洋上風力プロジェクトに係る最新動向と今後の展開」をテーマとして、日本企業が関わっている国内外における洋上風力プロジェクトの最新の情報を、実際の建設現場の迫力ある動画も交えご紹介いただきます。また水産関係団体からも、洋上風力の設置海域拡大の鍵となる漁業協調についてご講演いただきます。さらに本会関係者から、人材育成と女性活躍への取り組み状況、研究会報告等について発表いたします。
 第2日目は、一般研究発表の場として、例年通り風力エネルギーの高度利用および関連技術の新たな進展に関する学術論文の発表を行います。洋上風力発電をはじめ、風力発電に関わる様々な技術や新しい風力エネルギー利用技術のほか、経済性・社会受容性など、本学会ならではの幅広い分野にわたる研究について、各セッションでの発表が行われます。
 本年度のシンポジウムは、過去最多の発表件数となり、4部屋による進行となります。ポスター発表も過去最多となり、ポスターエリアには多数の発表が掲示されます。また第2日目のお昼には、本会初のイベントとして、本会若手女性メンバーによる、若手風力人材のネットワークづくりに向けてのワークショップも開催致しますので、ポスターエリアとも併せ是非お立ち寄りください。
 
 本シンポジウムに、より多くの皆様にご参加いただき、その成果を皆様の研究や活動に広く展開することで、今後、本シンポジウムが我が国の風力発電の進歩、拡大ならびに風力発電産業の活性化に寄与することを心から期待しております。
 
              日本風力エネルギー学会会長 三保谷 明