日本放射線技術学会 近畿支部 第61回学術大会

講演情報

一般演題

一般撮影 長尺撮影・Exposure Index(EI)

2018年1月21日(日) 10:35 〜 11:35 第1会場 (2階 鳳凰の間(東・中))

座長:宮島 祐介(奈良県立医科大学附属病院)、西端 豊(大阪医科大学附属病院)

10:35 〜 10:45

[18] FPDを用いた若年層全脊柱正面像における目標線量指標(Target Exposure Index:EIT)の算出

*岸本 実樹1、阪井 裕治1、石橋 舞1、奈良澤 昌伸1、工藤 禎宏1、久住 謙一1、岸本 健治1、市田 隆雄1 (1. 大阪市立大学医学部附属病院)

【背景・目的】若年層全脊柱正面像は,定期的な撮影が行われ被曝低減が必要となると共に,コブ角やRisser sign等の計測を主な目的とするため,成人全脊柱正面像と比べ大幅な撮影線量低減が可能である.今回は当院で撮影されている若年層全脊柱正面撮影より,目標線量指標(EIT)と入射表面線量(ESD)を算出したので報告する.

【方法】コニカミノルタ製FPD(AeroDR)のスリット方式長尺撮影システムを用い,特発性側弯症の若年層全脊柱正面像50例の平均EIを算出し,EITとした.撮影条件は管電圧80kV,SID200cm,管電流時間積(以下mAs)は体厚により変化させた(体厚16cmで,80kV,5mAs).さらにSurface Dose Evaluation Code(SDEC)を用い,平均ESDを算出した.比較のため成人全脊柱正面像30例より,EITおよび平均ESDを算出した.撮影条件は体厚20cmで85kV,12mAs,SID200cm,体厚によりmAsを変化させた.

【結果】若年層全脊柱正面像のEIは最大418,最小104となった.その平均EIは242となり,EITとした.体厚16cmにおけるESDは0.14mGyであった.成人のEITは454であった.また体厚20cmのESDは0.42mGyとなった.若年層全脊柱正面は成人と比べ,EITは1/2程度となり,ESDは1/3であった.また若年層全脊柱正面の平均ESDは,当院での胸部正面撮影1回と同等線量であった. FPDを用いた若年層全脊柱正面において,目的に応じた被曝線量の最適化がなされていることが確認できた.