第27回近畿臨床工学会

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シンポジウム4

2021年9月25日(土) 12:30 〜 14:00 第3会場 (ZOOM)

座長:熊山 義久(大阪医専)、福井 隆一(昭生病院)

12:40 〜 12:50

[SY4-2] 腹膜透析への臨床工学技士の関わり ~腹膜透析導入からトータルケアを目指す~

*田中 航太1 (1. 京都山城総合医療センター 人工透析室)

近年、腎不全患者に対して適切な腎代替療法の選択にあたり、医師、看護師、臨床工学技士などの医療者側からの医療情報の提供だけでなく、患者および家族の対話の中で最善の選択を探るシェアードデシジョンメーキング(SDM:共同意思決定)を行うことが推奨されている。そのなか、在宅医療である腹膜透析を選択される患者数は増えつつある。透析医療における臨床工学技士の役割は、血液透析分野においては、穿刺業務、機器管理業務、シャント管理業務などと確立されている。一方、腹膜透析分野での役割は未だ不明なことが多い。われわれは、以前より腹膜透析分野での臨床工学技士の果たす役割について模索してきた。2018年に当院でAPD:自動腹膜灌流装置「かぐや」が導入された。「かぐや」は、シェアソースシステムを用いて遠隔操作により患者個々のメニュー設定や夜間腹膜透析データをインターネット上でモニタリングが可能となり、在宅と病院をon-lineでつなぐことができる腹膜透析装置である。臨床工学技士が医師の指示のもと、APDメニューの設定を代行入力することが可能となり、腹膜透析への関わりを持つことが可能となってきた。さらにシェアソースシステムでは、on-lineでAPD患者の透析状況を把握、またトラブルに対しても迅速に対応する事が可能である。当院では、臨床工学技士がシェアソースシステムを用いて、連日APD患者の透析状況やトラブルの状況を確認し、医師や看護師とともに腹膜透析における遠隔患者マネジメントの一役を果たしている。実際には、APDメニューの入力・変更、APD導入患者への機器説明、腹膜透析カンファレンスの参加、APD導入患者の退院時在宅訪問、夜間トラブルオンコール対応などを担当し、チーム医療で患者に寄り添う腹膜透析医療を提供できるようになった。医師、看護師、臨床工学技士での腹膜透析の関わりを明確化し、お互いにディスカッションを重ね、業務負担を軽減し、現在22名のAPD患者の管理を行うことができている。このシンポジウムでは、腹膜透析における臨床工学技士が果たすべく役割と腹膜透析へのチーム医療についての思いを語りたい。