[01-03] 食道挿管を発見できず悔しい思いをした1例
【はじめに】
いくつもの食道挿管所見を得ながらも、最後までそれを指摘できなかった症例を経験したので共有する。
【症例と経過】
71歳女性、BSA1.35m2。肺塞栓症により呼吸状態が悪化、ショックバイタルとなり循環器内科医師が挿管を行った。補助循環導入と血栓溶解療法のためカテ室に移動した。透視にて挿管チューブの位置を確認。人工呼吸器はVCVでは高圧アラーム、PCVでは低換気アラームでまともに換気はできなかった。右大腿動静脈よりVAECMOを開始した(Flow:3.0〜4.0L/min、Perfusion Index:2.2〜3.0 L/min/m2)。その後、肺動脈主幹部の血栓を溶解した(平均肺動脈圧:41→32mmHg)が、溶解前に90%以上あった左手のSpO2は80%台に低下した。血圧は低くても120mmHg台を保てており、ECMOのFlowを調整してもSpO2は改善しなかったため、左手には自己の心臓で拍出した血液が循環しているものと考えられた。胸部レントゲンでは著明な胃拡張を認め、食道挿管を疑った呼吸器内科医師がビデオ喉頭鏡にて口腔内を目視した。挿管チューブは胃管と異なる場所に挿入されているように見えたため、食道挿管ではないと判断した。胃拡張の原因は不明だが、胃内のガスを取り除くことによりSpO2が上昇したので、胃拡張に伴う肺胞低換気による酸素化低下と結論づけた。ただし、原因不明の胃拡張は継続していたため麻酔科医師に相談したところ、用手換気に合った胸郭の挙上がないこと、ETCO2が上昇しないことから食道挿管と判断し、再挿管を行った。その後はSpO2が安定し、胸部レントゲンでは胃拡張が改善した。
【まとめ】
食道挿管の判別に絶対的な決め手はない。部内で対策を検討した結果、医療機器の専門家として、その場で冷静にかつ客観的に評価できるETCO2の測定を提案するということで話がまとまった。
いくつもの食道挿管所見を得ながらも、最後までそれを指摘できなかった症例を経験したので共有する。
【症例と経過】
71歳女性、BSA1.35m2。肺塞栓症により呼吸状態が悪化、ショックバイタルとなり循環器内科医師が挿管を行った。補助循環導入と血栓溶解療法のためカテ室に移動した。透視にて挿管チューブの位置を確認。人工呼吸器はVCVでは高圧アラーム、PCVでは低換気アラームでまともに換気はできなかった。右大腿動静脈よりVAECMOを開始した(Flow:3.0〜4.0L/min、Perfusion Index:2.2〜3.0 L/min/m2)。その後、肺動脈主幹部の血栓を溶解した(平均肺動脈圧:41→32mmHg)が、溶解前に90%以上あった左手のSpO2は80%台に低下した。血圧は低くても120mmHg台を保てており、ECMOのFlowを調整してもSpO2は改善しなかったため、左手には自己の心臓で拍出した血液が循環しているものと考えられた。胸部レントゲンでは著明な胃拡張を認め、食道挿管を疑った呼吸器内科医師がビデオ喉頭鏡にて口腔内を目視した。挿管チューブは胃管と異なる場所に挿入されているように見えたため、食道挿管ではないと判断した。胃拡張の原因は不明だが、胃内のガスを取り除くことによりSpO2が上昇したので、胃拡張に伴う肺胞低換気による酸素化低下と結論づけた。ただし、原因不明の胃拡張は継続していたため麻酔科医師に相談したところ、用手換気に合った胸郭の挙上がないこと、ETCO2が上昇しないことから食道挿管と判断し、再挿管を行った。その後はSpO2が安定し、胸部レントゲンでは胃拡張が改善した。
【まとめ】
食道挿管の判別に絶対的な決め手はない。部内で対策を検討した結果、医療機器の専門家として、その場で冷静にかつ客観的に評価できるETCO2の測定を提案するということで話がまとまった。