The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

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一般演題

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血液浄化①

座長:重松 武史(宮本クリニック 臨床工学科)、松本 真季(日本赤十字社 和歌山医療センター 臨床工学技術課)

[03-05] アルブミン製剤を用いた単純血漿交換における治療後のFib値は予測可能か?

*太田 雄土1、峰松 佑輔1、松本 猛志1、宇田 大介1、井本 隆之1、福辺 祥子1、楠本 繁崇1、南 茂1、高階 雅紀1 (1. 大阪大学医学部附属病院 臨床工学部)

【背景・目的】
単純血漿交換療法(PE)では、凝固因子の補充を目的としない場合、置換液としてアルブミン(Alb)製剤の使用が推奨されている。しかし、Alb製剤を用いたPEでは、一過性の急激なフィブリノゲン(Fib)値の低下により止血困難や出血性病変を発症させる可能性があることから、治療後の過度な低Fib血症に注意する必要がある。
そこで、Alb製剤を用いたPEの施行にあたり治療前のFib値から治療後のFib値を予測できないか検討し、さらにFFPを追加置換した症例を経験したことから、その施行方法によりFibの補充効果がどの程度あるかを後方視的に調べたので報告する。

【方法】
2019年1月から2020年12月にAlb製剤を用いてPEを施行した32名(126症例)を対象に治療前後の採血からFib値とIgG値の変化と血漿処理量の関係を後方視的に調査した。血漿処理量の設定は、目標血漿置換率約70%として設定した。
また、Alb製剤を用いたPE後に新鮮凍結血漿(FFP)を追加置換した6症例に対して治療後のFib値に及ぼす影響を後方視的に調査した。
統計学的処理は、t検定(paired-t)を行い、危険率p<0.01をもって有意とした。

【結果】
血漿循環量(PV)に対する目標置換液量は1.10±0.18PV(2936±690mL)、目標血漿置換率は67.2±6.2%であった。実際の置換液量は3099±726mL、Fib除去率は68.4±7.1%、IgG除去率は67.9±7.7%であった。治療前後においてFib値は191±78mg/dLから56±23mg/dLと有意に低下した(p<0.001)。IgGに関しても治療前後で474±285mg/dLから141±79mg/dLと有意に低下した(p<0.001)。治療前に予測されるFibの除去量は130±55mg/dL、実際の治療前後のFib減少量135±60mg/dLであり2変数間の相関係数はR=0.98であった。また、Alb置換液終了後にFFPを用いて追加置換を行ったPEは、目標血漿置換率が80%、FFP量は約15mL/kgであった。予測される治療後のFib値は36±18mg/dLであったが、実際の治療後のFib値は88±9mg/dLであり、予測値よりも有意に高かった(p<0.001)。

【結語】
Alb製剤を用いたPEにおける治療前値に対する治療後のFib値は予測可能である。また、治療終盤の置換液にFFPを少量用いることで、極端な低Fib血症を回避することが可能である。今後データを蓄積し、Alb製剤を用いたPEに使用する至適なFFP追加置換量を検討する。