[06-03] 高度石灰化を伴う大腿膝窩動脈病変に対してPave&crack法でViabahnステントグラフトを留置してステントグラフトが破損した一症例
症例は70歳代男性、主訴は右下肢の安静時痛。既往歴に急性動脈閉塞、虚血性心疾患、脳梗塞、人工透析を認めた。右足第1指疼痛、チアノーゼを認め、精査治療目的で入院となった。術前の体表面超音波検査にて右下肢の大腿膝窩動脈の完全閉塞を認め、同部位に対して末梢血管内カテーテル治療を施行した。右大腿動脈より7Frシースを用いて、同側アプローチにて手技を開始した。5FrのJRカテーテルバックアップ下で0.035 inch Stiff Jワイヤーを用いて閉塞部の通過を試みたが、閉塞部を通過させることができず、ガイドワイヤーは偽腔を捉えていた。偽腔のガイドワイヤーを真腔に戻すためにOutback Elite(Cordis)を使用したところ、真腔を捉えることができ閉塞部を通過させることに成功した。ガイドワイヤー通過後に血管内超音波を用いて病変性状・内腔径および血管径を評価した。病変部には高度石灰化を認め、病変部の遠位側の内腔径は5.7㎜、血管径は8.3㎜であった。5mmの高圧バルーンを用いて前拡張を行い、病変に対してフルカバーする形でViabahn7.0*25cm、8.0*15cmを留置し、8mmの高圧バルーンを用いて後拡張を行った。その後、血管内超音波でステントグラフトの開大を確認すると、遠位部の一部で拡張不十分の部位を認めたため、9mmのセミコンバルーンを用いて追加で後拡張を行った。しかし、9mmのバルーンで追加後拡張後の造影にて遠位部の拡張不十分であった部位のViabahnステントグラフトの破損を認めたためViabahn7.0*10cmを内側に追加留置し、8mmの高圧バルーンを用いて後拡張を行った。最終造影および最終の血管内超音波でステントグラフト内の良好な開大を確認でき手技終了となった。今回、高度石灰化を伴う大腿膝窩動脈病変に対してPave&crack法でViabahnステントグラフトを留置してステントグラフトが破損した症例を経験したので文献的考察を踏まえ報告する。