The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

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一般演題

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血液浄化②

座長:村田 渉(独立行政法人 地域医療機能推進機構 滋賀病院 臨床工学部)、峰松 佑輔(大阪大学医学部附属病院)

[04-03] 血液透析治療中における血液回路チューブの振動計測

*川村 勇樹1,2、桑原 健太2、池田 拓洋2、西手 芳明1、山本 衛1 (1. 近畿大学 生物理工学部 医用工学科、2. 医療法人たちばな会 西岡病院)

我が国に限らず,血液透析治療を受ける患者の数は増加傾向にある.血液透析は,身体から取り出した血液の清浄化および除水を行い,体内に返す治療法である.このような体外循環では,脱血が上手くいかないと血流量が減少し,透析治療の効果が十分に得られない.透析用血液回路標準化基準(Ver.1.00)において,脱血不良の連続的監視にはピロー部を利用することが推奨されている.しかし,血流の停滞による凝血が生じる可能性があり,ピローの設置は必須とはされていない.そこで本研究では,血液回路チューブの振動に着目し,脱血不良の新たな検出方法を提案する.
 血液回路チューブの振動を計測するために,レーザ変位計を用いた.振動の測定部位は,①血液ポンプ出口近くのポンプセグメント部,および②血液ポンプと動脈チャンバ間のチューブの2カ所を設定した.また,血液ポンプ前に超音波流量計を設置し,血流量の経時変化を計測した.血液ポンプの設定流量を300 mL/minとした際に,計測血流量が150および200 mL/minとなるように鉗子でチューブの一部を閉塞することで脱血不良を模擬し,それぞれ脱血不良群および脱血減少群とした.また,各実験条件で取得した血液チューブの振動データに対して,フーリエ変換による振動数解析を実施した.
 設定流量が300 mL/minの時,ポンプセグメント部の振動は,脱血減少群,脱血不良群の順に脱血不良が強くなるにつれて1.2 Hzおよび2.3 Hzの振動数成分が高値となった.また,チャンバ前のチューブの振動も,脱血不良群で300 mL/minの設定流量において,2.3 Hzの振動数成分が強くなった.
 以上の結果より,脱血不良に伴い,血液回路チューブ振動の特定振動数成分に変化が生じることが明らかになった.このような振動データの利用は,ピローに変わる脱血不良監視方法の開発に繋がるものと推察される.