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一般演題

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血液浄化③

[15-04] 血液透析におけるシャント血管の血管抵抗指数が再循環率に与える影響について

*梅井 克行1 (1. 関西電力病院 臨床工学部)

【はじめに】血液透析における治療効率はバスキュラーアクセスであるシャント血管の状態により大きく影響を受ける。シャントの狭窄や血圧低下などでシャント血流量が低下すると脱血不良や再循環が生じ効率が低下する。今回、血流量以外に治療効率に影響する因子として血管抵抗指数(Resistance Index : RI)に着目し、数値流体解析を用いRIの違いで再循環率が変化するか数値流体力学(Computational Fluid Dynamics : CFD)解析用ソフトを用いシミュレーションを行ったため報告する。

【方法】内径5mmのシャント血管の3DモデルをFreeCADで作成し、CFD解析プログラムであるOpenFOAMを用いシャント血流量を500ml/minに固定してRIを0.94、0.80、0.60、0.50、0.0(定常流)と変化させた5パターンの血流を血管モデルの入り口から流入させ、2本の穿刺針から200ml/minの速度で脱血・返血を行うシミュレーションを実行し再循環率を見積もった。条件の設定はOpenFOAMで入力し、計算は非圧縮性非定常流用のプログラムを用いた。流速の可視化および再循環率の見積りは数値解析の可視化用プログラムであるParaViewにて行った。

【結果】再循環はRI0.94、0.80、0.60、0.50、0.0の順にそれぞれ28.1%、11.6%、0.44%、0.29%、0.0%となり、RIが高いほど再循環率も高くなる結果となった。また、可視化の結果、流入する血流の流速が30cm/s以下になると返血針から脱血針へ逆流する血流が顕著に観測された。

【考察】血流量が十分であってもRIが高い血流では再循環率が大きく上昇し、透析効率に影響する因子であると言える。RIは収縮期最高血流速度と拡張期最低血流速度から算出されており、2つの速度の差が大きいほどRIも大きくなる。再循環が増加する原因として血流速度が脱血速度を下回る時間が長いほど返血針からの逆流量が増加すると考えられ、波形が急峻かつ最低血流速度が小さい血流では血流量が十分でも再循環が発生している可能性がある。