The 27th Kinki Association for Clinical Engineers

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一般演題

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血液浄化③

[15-06] 紫外光吸光度を指標とした高圧蒸気滅菌ダイアライザから溶出するPVPの評価

*島本 佳昌1,2、松下 誠吾2、山本 貴敏2、海本 浩一1 (1. 大阪電気通信大学、2. 山本クリニック)

【目的】
ポリスルホン(PS)膜の配合材料である親水剤ポリビニルピロリドン(PVP)は, 透析治療中の生体安全性の観点で膜からのPVP溶出が少ないことが望まれる. 高圧蒸気を用いたダイアライザの滅菌法の一つにインライン蒸気滅菌があり, この滅菌法はPVP溶出を抑止する効果があるとされている. 今回, 紫外光(UV)吸光度を指標にインライン蒸気滅菌ダイアライザから溶出するPVPの評価を試みた.
【方法】
 PVPK90試薬を生理食塩液(生食)に溶解し, 分光光度計を用いてPVPのUV極大波長(λmax)を調べた. 次に, PS膜ダイアライザでインライン蒸気滅菌であるFX-180(FX, フレゼニウス)を生食洗浄し, FX洗浄液のλmax値とそのUV吸光度から算出したPVP濃度(UV法)を一般的なPVP測定法であるミューラー法と比較した.
【結果】
 FX洗浄液のλmax値は201.0nmとなり, PVPk90のλmaxである201.3nmと近似した. FX洗浄液中のPVP濃度(median(25-75th percentile))は, ミューラー法で0.3(0.2-0.6)mg/L, UV法では1.9(0.7-2.2)mg/LとUV法において有意にPVP濃度が高値を示した(n=12, p=0.0032).
【結語】
ミューラー法でのPVP濃度は極めて低く, FXからのPVP溶出は少ないものと判断できた. しかし, UV法での評価はミューラー法より平均で4倍ほど数値が高く, インライン蒸気滅菌でも実際は多くのPVPが溶出している可能性がある.