The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

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一般演題

一般演題2
人工心肺

Sun. Oct 9, 2022 10:10 AM - 11:10 AM 第3会場 (Zoom)

座長:稲垣 伸光(和歌山県立医科大学附属病院)、吉田 久美(滋賀医科大学附属病院)

[02-01] 当院における人工心肺を使用した心臓手術後の急性腎機能障害発生率と発生因子の検討

*油谷 雅世1、木本 和樹1、三浦 千里1、大崎 友寛1、柿原 達志1、濵田 明日香1、平田 雅弥1 (1. 医療社団法人昴会湖東記念病院 臨床工学科)

【背景・目的】  
 人工心肺(以下CPB)症例の合併症として術後の急性腎機能障害(以下AKI)があり、その発生因子については不明な点が多い。過去の症例より当院のAKI発生率および患者背景、術前・術中データを集計し、その因子となりうるものを検討した。
【対象および方法】  
 2016から2021年に当院で行われたCPBを使用した待機的心臓手術症例170例(循環停止、On pump beating症例、維持透析患者は除外)を対象とした。術後48時間の血清クレアチニン(以下Cre)値の変化からAcute Kidney Injury Network(以下AKIN)分類を用い、AKIを発症した群(以下AKI群)と発症しなかった群(以下NAKI群)に分類した。2群間の患者背景、術前・術中データをWelchのt検定を用いて比較検討した。
【結果】
 全170症例のうち、AKIは35例(20.5%)に認めた。AKI群の中で術翌日に血液透析を必要としたのは1例(2.9%)であった。術前データではヘモグロビン(以下Hb)値はAKI群で有意に低かった(AKI群:11.7±2.2, NAKI群12.6±1.9g/dl, p=0.03)。また術前Cre値はAKI群で有意に高かったが(AKI群:1.15±0.46, NAKI群:0.98±0.29mg/dl, p<0.01)、術前推算糸球体濾過量(以下GFR)と血中尿素窒素(以下BUN)値に有意差は認めなかった。術中データでは体外循環時間はAKI群で有意に長かった(AKI群:124.3±44.9, NAKI群:102.8±28.5min, p=0.01)。術中濃厚赤血球輸血量(以下輸血量)はAKI群で有意に多かった(AKI群:6.7±5.0, NAKI群:4.1±3.9単位, p=0.01)。除水量はAKI群で有意に多かった(AKI群:2854±1913 , NAKI群:1619±1290ml, p<0.001)。それ以外の患者背景、術前・術中データに有意差は認めなかった。
【考察】
 CPBを使用する心臓手術後のAKI発生率は15~30%と報告されており、当院も同様の結果であった。他施設の報告と共通したのは輸血量がAKI群で有意に多かったことであった。術前より貧血傾向にあり、輸血量が多くなる患者では、術後AKIになる可能性が高いことが示唆された。輸血では酸素運搬能の改善はわずかであり、炎症性メディエータによる合併症の発生も報告されており、輸血投与は慎重に行う必要があると考えられた。