[02-02] 新型コロナウイルス感染患者に対する感染対策が必要な体外循環症例
【緒言】 新型コロナウイルスは急速に世界中に広がり、飛沫感染と接触感染によって人から人へと伝搬し、いまだに収束の兆しが見えない。今回、新型コロナウイルス感染患者に対する体外循環症例を経験した為、術中に行った感染対策の方法を報告する。 【症例】 2021年10月 X歳 男性 Stanford A型大動脈解離と診断、既往歴に糖尿病と高血圧があった。 【感染対策方法】 手術前に当院手術室の感染対策マニュアルを基に、陰圧の手術室で人工心肺装置、心筋保護装置および自己血回収装置などの使用機器を飛沫や接触から防ぐためにビニールを覆うように張り付けた。 手術中はPPE(personal protective equipment)を施行した臨床工学技士を手術室内に人工心肺操作者1名、アシスタント1名、手術室外に物品補充等に対応する1名を配置した。 手術後は使用機器をペルオキソ一硫酸水素カリウム(ルビスタワイプ®)で拭き、紫外線殺菌灯を5分間照射させた。心筋保護装置と人工心肺装置用の冷温水層に濃度が600ppmの次亜塩素酸添加水を10分間循環させ排水し、乾燥させてから水の入れ替えを行った。その後使用機器は通常使用とし、使用した手術室は70分間換気したのちに使用可能とした。 【考察】 紫外線殺菌灯や次亜塩素酸はほとんどの細菌とウイルスが殺菌されるという報告がある。今回の感染対策マニュアルに基づいた対策はスタッフに新型コロナウイルス発症者を発生させなかったことから有効であったと考えられる。しかし、手術中の室内には不要な物品が残されており、使用機器でビニール張りが不十分な部分も見られたため、手術室内の感染対策マニュアルの更新も必要と考えられる。 【結語】 新型コロナウイルス感染患者に対する感染対策が必要な体外循環症例を経験した。今後、マニュアルの更新により感染対策を考慮したスムーズで安全な業務が実施できると考える。