[02-03] 2種類のTerumo CapioxRガス交換膜の細孔構造とSARS-CoV-2透過リスクの検証
【背景・目的】 体外式膜型人工肺(ECMO)は新型コロナウィルス感染症重症患者にとって「最後の砦」である。しかし、新型コロナウィルス感染症重症患者のECMO治療において、プラズマリークが原因でSARS-CoV-2が膜型人工肺を介し、漏出・飛散することが報告されている。本邦で代表的なTerumo Co., Ltd.のCapioxRPMP膜についても、SARS-CoV-2の漏出リスクが懸念されている。そこで本研究では、我々の先行研究の手法を用いて2種類のCapioxRガス交換膜の膜構造を解析し、SARS-CoV-2の漏出リスクを検証する。 【方法】 膜材質と製膜法が異なる2種類のCapioxRLX2(以下LX2) 及びCapioxRFX(以下FX)を対象とした。膜型人工肺から中空糸膜をサンプリングし、剃刀を用いて中空糸膜を唐竹割にして中空糸膜内表面を露出させFE-SEMで撮像した。また、疎水性の中空糸膜厚み部分(多孔質体)を湿潤させるため50%アセトン水溶液に2日間浸漬させ、液体窒素中で中空糸を凍結割断して膜厚断面壁を観察した。撮像した画像を用いて細孔径及び細孔面積を計測した。 【結果・考察】 LX2 及びFXともに膜内表面と膜外表面の細孔構造が全く異なる異方性構造であり、LX2の膜横断面は膜内側から外側に向けて徐々に緻密になるグラジエント構造であった。LX2の膜外表面はコーティング層によって細孔が認められず、膜透過モデルに基づくSARS-CoV-2の分配係数は算出できなかった。一方、FXの膜外表面の細孔直径と膜面開孔率はそれぞれ193±79nm(n=60)、13.8±2.6%(n=3)であり、分配係数は0.49であった。 【結言】 LX2の膜外表面にSARS-CoV-2が侵入できるような細孔は認められないためSARS-CoV-2の膜透過リスクは低い。