[02-04] 本邦初の2週間使用が認可されたECMO用ガス交換膜の膜構造解析
【背景・目的】 体外式膜型人工肺(ECMO)はCOVID-19重症患者にとって「最後の砦」である。このECMO治療において、本邦の膜型人工肺は6時間使用までしか認可されていない。この現状に対し、2020年にGetinge社製補助循環システムHLS SET Advanced(以下HLS)が本邦で初めて2週間連続使用の認可を得た。そこで本研究では、当該膜型人工肺に内蔵されている中空糸の膜細孔構造を電界放出型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて解析し、膜工学的観点から2週間使用が認可された根拠を推察する。 【方法】 Getinge 社のHLSおよびQUADROX-iRの2つのタイプを対象とした。それぞれから中空糸をサンプリングし、剃刀を用いて唐竹割りにして中空糸膜内表面を露出させ、膜内外表面をFE-SEMで撮像した。また、中空糸膜厚部(横断面)の細孔構造を精緻に観察するために、サンプルを有機溶媒に浸し減圧、真空にすることで膜壁細孔内部に十分浸漬させた。これを液体窒素中で凍結割断し、膜厚部を同様に観察した。撮像された画像から細孔径、細孔面積および膜面開孔率を計測した。 【結果・考察】 HLSおよびQUADROX-iRは、共に本邦のガス交換膜と比べ膜内外表面の構造はいずれもラフであった。また、膜横断面は膜外側が密であるグラジエント構造であった。長時間耐久性を発現させるためかHLS の膜外表面にはコーティング層が存在しており、細孔は確認されなかった。その上、膜内表面の開孔率は4.7%(n=3)と非常に小さかった。デバイス内の中空糸はすだれ状につなぎ合わされ幾層にも積層された多層構造であり、本邦のECMO用人工肺と比べると血液流量に対する圧力損失は小さかった。 【結言】 HLSを観察、解析する機会を得た。これにより、中空糸膜構造および配列等血液流路の設計によって、長時間耐久性の発現が意図されていると考えられた。