[02-05] 電界放出型電子顕微鏡(FE-SEM)による人工肺膜の観察条件およびサンプル作成方法の検討
【背景・目的】 これまでの先行研究では、電界放出型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて人工肺膜の膜内・外表面や横断面の構造を観察し、細孔直径や膜内外の異方性を精緻に解析してきた。その際、FE-SEMの電子ビームによってある膜の膜表面が溶融し、細孔が消失してしまうことを経験した。そこで本研究では、観察中サンプルにおいてそのような不可逆的変化が起こらない、サンプル本来の構造を観察できる撮像条件を検討する。さらに、人工肺膜の膜厚み部分の観察が困難である場合の対応を検討する。 【方法】 本邦で代表的な体外循環用および補助呼吸用人工肺膜を対象とした。FE-SEMを用いた膜表面観察時の細孔消失を防ぐため、加速電圧(5kV、1kV)や測定方式(Lower secondary Electron Image (LEI) )を検討した。また、疎水性膜の膜厚み部分の細孔構造を観察するため、エタノール50%水溶液あるいはアセトン50%水溶液に浸し、サンプルの多孔質体に溶媒を十分に浸漬させたのち、液体窒素中で凍結割断し横断面観察用サンプルを作成した。さらに、医療用メスを用いて膜厚み部分を切断して細孔構造を観察した。 【結果・考察】 加速電圧および測定方式を調整することで細孔消失といった不可逆的変化を防ぐことができ、膜表面本来の様子をとらえることができた。しかし、画像の解像度が低下し高倍率での観察に影響が生じた。中空糸の膜厚み部分については、剃刀で切れ目をつけ液体窒素中で凍結割断を行ったが、完全に凍結せず割断を行うことができなかった。さらに医療用メスを用いて中空糸を切断した場合では、切断面の細孔構造が崩壊してしまい、精緻な細孔観察はできなかった。 【結言】 膜表面の溶融による細孔の消失を防ぐことができ、膜表面本来の構造を観察することができた。横断面については精緻な細孔構造の観察はできなかったため、別のアプローチを検討する。