The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

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パネルディスカッション

パネルディスカッション1
排痰補助装置の効果的な臨床使用と今後の展望

Sun. Oct 9, 2022 9:00 AM - 10:30 AM 第2会場 (Zoom)

座長:大野 進(滋賀県立総合病院)

[PD1-2] 多職種協働による気道クリアランス療法の実践

*阿部 聖司1 (1. 国立病院機構 西別府病院)

 カフアシストをはじめとする機器を使用した気道クリアランス療法は様々な疾患に対して様々な場面で使用されており近年知名度が上がってきている。AARCから入院を要する成人・小児に対する気道クリアランス療法のガイドラインが公表されており、神経筋疾患、呼吸筋力低下または咳機能低下の場合には、咳介助を行うよう推奨されている。しかしながら、これらの治療法はまだシステム的に十分に確立していないと考える。機器操作の煩雑さと、臨機応変な設定の必要性、人工呼吸器患者においては回路の脱着などのリスク管理などが要因として考えられる。当院では2016年より理学療法士等リハビリテーション専門職と協働している。
 カフアシストなど気道クリアランス療法を人工呼吸器装着患者に使用するためには、回路の脱着、カフアシスト用回路への装着、機器の動作、分泌物があれば吸引をし、再び呼吸器回路の装着、回路確認など非常に煩雑な工程を踏まねばならない。また、排痰効果を上げるためには体位変換も必要であるし、これらの操作に慣れたスタッフとそうでないスタッフとで差もできるため、安全に継続して効果的に気道クリアランス療法を行う事ができるかが難しい。当院では機器の操作、人工呼吸器からの回路脱着などを臨床工学技士が、体位変換やスクイージングなどを理学療法士がそれぞれ行い、双方で患者の治療効果の評価をするようになった。回路外れ等の危険性が大幅に減り、体位変換も安定して行う事ができるようになったことで治療の安全性が向上した。また、状況に応じた体位変換や設定の微調整、機器の選択を行う事で、より効果的に治療を行えるようになった。昨年度の実績において機器を使用した気道クリアランス療法はリハビリテーション科の実績で2000単位を超えリハビリの重要な一角を占めるようになっている。必要とされる患者が多いためマンパワー不足が課題となってきているが、患者への緊急性など優先度を双方で相談し予め治療時間を確保することで効率よく行う事で現在は対処している。
 多職種による実践を行ってみると、職種間でメリットがあり、患者満足度や治療効果も上がり、現状欠点が見当たらないのが正直な感想である。職種の得意分野を活かせるこの治療方法を今後も広めていきたいと考えている。