地球―宇宙資源探査 ～大規模データプロセッシング～

[36-06] Data processing for classification of asteroid and meteorite

^〇宮本 英昭¹、杉田 精司¹、栗谷 豪² (1. 東京大学、2. 大阪市立大学)

探査機「はやぶさ」による小惑星イトカワのサンプル採取などを通して,低精度だが広い空間スケールを網羅できる反射スペクトルの地上観測データに,地上分析でのみ得られる超高精度の元素組成データを対応付けられることが示された.他の多様な小惑星の観測に物質科学的根拠を与えることができれば,太陽系の物質分布の理解は飛躍的に進むと期待される.しかしこれまで小惑星は,反射スペクトルの形状から約30種に分類されてきたが,その一方で隕石も元素組成や鉱物組織などから,約70種に分類されるなど,両者は異なる歴史と性質で分類されており,これらを対比することは容易ではない.さらに小惑星の分類の根拠となるスペクトルが,波長幅の制約や宇宙風化による平滑化の影響,さらには多様な表面状態や内部分化の可能性を含んだ観測量であり,ピーク値や形状では必ずしも単純に議論できないことは,問題をさらに複雑にしている.私達は不確定量を含む大規模なデータプロセッシングを取り扱う数学的モデルを用いて,両者の対比を目的としたクラスタリング解析を行うことで,この問題にアプローチしようとしている.本講演ではその概要と展望について報告したい.