Copper2016プレシンポジウム

[3715] ヒ素含有銅鉱石のバイオリーチングとヒ素含有製錬廃液のバイオ処理

^○沖部奈緒子¹ (1.九州大学大学院 工学研究院 地球資源システム工学部門)

司会:中野博昭(九州大)

キーワード：バイオリーチング ヒ素含有銅鉱石、亜ヒ酸、製錬廃液、スコロダイト

地球上の自然環境においては、鉱物/金属と微生物細胞の間で常に相互作用が生じている。湿式製錬学（ハイドロメタロジー）とバイオテクノロジーが分野融合したバイオハイドロメタロジー（biohydrometallurgy）は、このような生化学的反応を金属資源処理プロセスに応用したものであるが、工・農・医分野に広くまたがるバイオテクノロジーの中でも、世界的に最も成功し、商業的に拡大した分野の1つである。本講演では、主に、(i) ヒ素含有銅鉱石であるエナジャイト(Cu₃AsS₄)のバイオリーチングおよび銀触媒添加効果についての最新研究成果、および、(ii) バイオスコロダイト生成による亜ヒ酸含有銅製錬廃液からのヒ素不動化について紹介する。後者においては、特に毒性・溶解性の高い亜ヒ酸（As(III)）を、好熱好酸性・鉄硫黄酸化古細菌Acidianus brierleyiを利用したワンステップのバイオプロセスにおいて、二次鉱物スコロダイト（FeAsO₄·2H₂O）としてバイオミネラリゼーションするに至った、これまでの一連の研究成果について紹介する。