資源・素材2016(盛岡)

講演情報(2016年8月18日付)

企画講演

YARO14-『岩』を調べる『手』

2016年9月15日(木) 09:25 〜 12:00 第5会場 (13番講義室)

司会: 鴨志田直人(岩手大学), 奈良禎太(京都大学)

09:30 〜 09:45

[3502] 岩石と粘土におけるトランジェントパルス法を用いた透水係数測定

加藤昌治1, 奈良禎太2, 岡崎勇樹3, 河野勝宣3, 佐藤稔紀4, 佐藤努1, 福田大祐1, 高橋学5 (1.北海道大学大学院工学研究院, 2.京都大学大学院工学研究科, 3.鳥取大学大学院工学研究科, 4.日本原子力研究開発機構, 5.産業技術総合研究所)

司会: 鴨志田直人(岩手大学)

キーワード:花崗岩、粘土、透水試験法、透水係数

き裂を有する岩石の透水性に及ぼすき裂充填鉱物の影響を調べることは,放射性廃棄物の地層処分を考える上で重要である.そこで本研究では,瑞浪超深地層研究所の研究坑道においてボーリングにより得られたインタクトな土岐花崗岩と坑道壁面から採取された雲母粘土鉱物を供試体として,同じ室内試験装置で個別に透水係数の測定をおこなった.粘土は,岩石と違い自立していないため,一般に剛性の高い容器に詰め,圧密度と飽和度を調整して透水試験は実施される.しかし,本研究では,岩石供試体用の透水試験装置を用いるため,粘土供試体に対しても上下をステンレス製のエンドピースではさみ,側面は柔軟なゴムスリーブで包み込んでいる.透水試験の際には封圧と間隙圧を個別に設定することによって供試体の応力状態を調整するが,粘土のSkemptonのB値は1に近いため,封圧を変化させるとそれに比例して間隙圧も変化してしまう.そのため,有効封圧は0に近い条件となる.また,供試体の透水性が低いためトランジェントパルス法を採用しているが,間隙圧を急激に上昇させると,圧力容器の容量の関係で間隙圧が封圧を上回り,間隙水が封圧媒体に漏出することになる.そこで,上流側端面のパルス圧を負値として実験を実施した.その結果,インタクトな花崗岩と粘土の透水係数は同じオーダーの値を示した.それゆえ,開口したき裂を有する岩石の透水性は,粘土鉱物によってき裂が充填された場合,すなわち,き裂が修復された場合には,インタクトな岩石の透水性に近づくことが期待される.したがって,岩石がき裂を有している場合でも,充填鉱物の有無が岩石の透水性に大きく影響を与えることが示唆された.

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