粉体精製工学部門委員会学生賞セッション

[1201-11-09] 浸出促進を目的としたセリウム含有鉱石の遊星ミル粉砕によるメカノケミカル反応の機構解明

^○加藤 達也¹、松岡 光昭¹、所 千晴¹、綱澤 有輝²、高木 哲一² (1. 早稲田大学、2. 産業技術総合研究所)

司会: 和嶋隆昌（千葉大学）

キーワード：メカノケミカル反応、遊星ミル、リーチング、セリウム、XAFS分析

近年，粉砕など機械的操作に伴うメカノケミカル反応は，鉱物処理の分野で着目されている。特に，メカノケミカル反応による難処理鉱石からの浸出促進は，使用薬剤量の削減やプロセスの簡略化に寄与することから，その応用が期待されている。しかし，メカノケミカル反応の機構やそれに伴う浸出促進機構は十分に解明されていない。そこで本研究では，セリウム含有鉱石を対象として，遊星ミル粉砕によるメカノケミカル反応の機構解明を目的とした。セリウム含有鉱石の遊星ミル粉砕では，粉砕時間による平均粒径の差は大きくないことが確認された。しかし，粉砕後のセリウム含有鉱石を硫酸リーチングしたところ，粉砕時間が長い条件であるほど，セリウム浸出率が増加することが確認された。したがって，粒径以外の要因がセリウム浸出率の向上に寄与すると考えられ，メカノケミカル反応の発生が示唆された。粉砕後のセリウム含有鉱石のXAFS分析をしたところ，粉砕時間が長くなるほど，4価のセリウムが3価に還元されていることが確認された。以上の結果から，セリウム含有鉱石に対する遊星ミル粉砕に伴うメカノケミカル反応はセリウムの還元反応であると推察された。