資源開発技術

[1415-23-08] 地熱井におけるシリカスケール析出現象の物理学的モデル化に関する基礎研究

^○岩田 優生¹、三ヶ田 均¹、武川 順一¹ (1. 京都大学)

司会: 濱中晃弘（九州大学）

キーワード：地熱、スケール、シリカスケール

地熱発電において，熱水配管内部でのシリカスケール析出は発電効率に非常に深刻な影響を及ぼす．スケール析出の制御に関して様々な取り組みがなされてきたが，反応速度論に基づく化学的アプローチのみでは実際の現象とかけ離れた結果しか得られておらず，複雑な要素が絡み合うスケール析出現象のメカニズム解明にはより正確かつ定量的な手法が求められている．本研究では，シリカスケール析出において，これまで重要視されてこなかった物理的影響に焦点を当て，スケール析出現象の定量化・数値化をはかった．本手法では，スケール析出に関与するシリカをコロイド粒子とみなし，その粒子における離散化された運動方程式を直接的に計算することにより，シリカ粒子の挙動を追跡している．さらに，壁面吸着後の粒子の力学的バランスを評価することで，流体流速とスケール析出量との相関を示した．本手法での数値計算結果は既存の実験値と良い一致を示しており，物理的要素を考慮した定量的なスケール析出シミュレーションの重要性が明らかとなった．