1:25 PM - 1:45 PM
[1501-04-02] International standardization works for CO2 capture, transportation and geological storage (CCS)
司会:坂本 靖英(産業技術総合研究所)
Keywords:CCS, ISO, risk management, communication
新規の技術はテクニカルな側面の確立だけでは普及は難しい。多様なステークホルダーが想定される新たな技術には、法規や標準による普及の環境整備が不可欠である。
CO2地中貯留(CCS)についてみると、北米やヨーロッパ地域で一旦予算化されたプロジェクトが、その国にCCS事業に関わる標準や法規がないことが理由となって、推進する行政側とその妥当性の審判を迫られた司法の判断とが噛み合わず、中断を余儀なくされたケースが幾つかある。CCS事業の技術的要件とそのマネジメントの必要十分条件について明文化された標準があれば、それを参照して適正な管理を求める法律を整備することも可能になる。さらには、事業の認可や財政的な補助や税制といった行政上の制度整備も容易になる。
2005年、G8(主要国首脳会議)は温暖化対策としてのCO2地中貯留(CCS)の有用性をはじめて取り上げた。G8はCCS推進についてIEA(国際エネルギー機関)に協力を要請するとともに、OECD加盟国に対してCCS事業に関わる法規や標準の制定を求めた。2010年前後、EUをふくむOECD参加国によるCCS法規の制定が相次いだ。同時期にCCSに関する標準化の作業もスタートした。2012年、世界初のCO2地中貯留に関する国内規格がカナダ規格協会より発表された。ISO(国際標準機関)は、CCSに関する新たな専門委員会(ISO/TC265)を設置し2011年より活動を開始した。ISO/TC265は『二酸化炭素の回収、輸送、および地中貯留の分野における設計、建設、操業、環境に関する計画およびマネジメント、リスクマネジメント、定量化、モニタリングと検証、および関連の活動に関する国際標準化』を考慮の範囲とし、6WGで国際標準化活動を行っている。ISO/TC265は現在までに国際標準や技術報告書を7件出版し、他に約10件の国際標準文書を編集中である。
ISO/TC265国際標準を考慮しなければならない理由はあるのだろうか? WTOの協定は「TBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)」を内包しており、各国や各地域の強制規格や任意規格を国際規格に整合化することを全てのWTO加盟国に求めている。そして、各国の国内規格に対しては、気候上の理由など正当な理由が無い限り、国際規格を基礎として作成しなければならないとしている。また、「WTO政府調達に関する協定」では、政府調達の基準設定に国際標準を基礎とすることを義務づけている。それが、国際標準を無視するわけにはいかない理由である。日本ではCCS事業に関係する法規として環境省管轄の海洋汚染防止法に関連した二酸化炭素の海底下廃棄に対する指針等がある。また経済産業省による、CCS大規模実証試験を対象としたガイドラインも発表されている。しかし、CCSそのものを対象とする法規はまだない。今後、日本国内でCCS関連法が整備されるかどうかについても不確定な要因がまだある。しかし、国内外のCCS事業の普及を将来的に目指すのであれば、CCS事業の計画とマネジメントの透明性の確保の観点から、2016年頃からあいついで発行されつつあるISO/TC265の各種のCCS国際標準への準拠を考慮することは合理的と考えられる。
本発表ではISO/TC265の現在までの活動と成果、意義、そして最近の議論について報告する。
CO2地中貯留(CCS)についてみると、北米やヨーロッパ地域で一旦予算化されたプロジェクトが、その国にCCS事業に関わる標準や法規がないことが理由となって、推進する行政側とその妥当性の審判を迫られた司法の判断とが噛み合わず、中断を余儀なくされたケースが幾つかある。CCS事業の技術的要件とそのマネジメントの必要十分条件について明文化された標準があれば、それを参照して適正な管理を求める法律を整備することも可能になる。さらには、事業の認可や財政的な補助や税制といった行政上の制度整備も容易になる。
2005年、G8(主要国首脳会議)は温暖化対策としてのCO2地中貯留(CCS)の有用性をはじめて取り上げた。G8はCCS推進についてIEA(国際エネルギー機関)に協力を要請するとともに、OECD加盟国に対してCCS事業に関わる法規や標準の制定を求めた。2010年前後、EUをふくむOECD参加国によるCCS法規の制定が相次いだ。同時期にCCSに関する標準化の作業もスタートした。2012年、世界初のCO2地中貯留に関する国内規格がカナダ規格協会より発表された。ISO(国際標準機関)は、CCSに関する新たな専門委員会(ISO/TC265)を設置し2011年より活動を開始した。ISO/TC265は『二酸化炭素の回収、輸送、および地中貯留の分野における設計、建設、操業、環境に関する計画およびマネジメント、リスクマネジメント、定量化、モニタリングと検証、および関連の活動に関する国際標準化』を考慮の範囲とし、6WGで国際標準化活動を行っている。ISO/TC265は現在までに国際標準や技術報告書を7件出版し、他に約10件の国際標準文書を編集中である。
ISO/TC265国際標準を考慮しなければならない理由はあるのだろうか? WTOの協定は「TBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)」を内包しており、各国や各地域の強制規格や任意規格を国際規格に整合化することを全てのWTO加盟国に求めている。そして、各国の国内規格に対しては、気候上の理由など正当な理由が無い限り、国際規格を基礎として作成しなければならないとしている。また、「WTO政府調達に関する協定」では、政府調達の基準設定に国際標準を基礎とすることを義務づけている。それが、国際標準を無視するわけにはいかない理由である。日本ではCCS事業に関係する法規として環境省管轄の海洋汚染防止法に関連した二酸化炭素の海底下廃棄に対する指針等がある。また経済産業省による、CCS大規模実証試験を対象としたガイドラインも発表されている。しかし、CCSそのものを対象とする法規はまだない。今後、日本国内でCCS関連法が整備されるかどうかについても不確定な要因がまだある。しかし、国内外のCCS事業の普及を将来的に目指すのであれば、CCS事業の計画とマネジメントの透明性の確保の観点から、2016年頃からあいついで発行されつつあるISO/TC265の各種のCCS国際標準への準拠を考慮することは合理的と考えられる。
本発表ではISO/TC265の現在までの活動と成果、意義、そして最近の議論について報告する。
講演PDFファイルダウンロードパスワード認証
講演集に収録された講演PDFファイルのダウンロードにはパスワードが必要です。
現在有効なパスワードは、[資源・素材学会会員専用パスワード]です。
※[資源・素材学会会員専用パスワード]は【会員マイページ】にてご確認ください。(毎年1月に変更いたします。)
[資源・素材学会会員専用パスワード]を入力してください