環境／鉱物処理

[2K0301-08-03] チオ尿素バイオリーチングによる廃電子基板からの貴金属回収に関する研究

○田中 ゆう¹、Intan Nurul Rizki¹、沖部 奈緒子¹ (1. 九州大学)

司会：林健 太郎（JOGMEC）、沖部 奈緒子（九州大学）

キーワード：チオ尿素リーチング、バイオリーチング、金、銀、廃電子基板

廃電子電機機器（e-waste）のリサイクルは、金属資源安定確保および環境負荷低減の点において益々重要な課題となってきている。リサイクル可能な二次資源（都市鉱山資源）として日本に蓄積する有価金属量は、代表的な資源国が保有する天然金属資源量に匹敵するとも言われ、特に貴金属である金と銀はその中で重要な位置を占めている。本研究では、チオ尿素との錯形成反応に基づいた金および銀の浸出に微生物学的鉄酸化反応を組み合わせた「チオ尿素バイオリーチング（TU-bioleaching）」を提案し、低濃度のチオ尿素において廃電子基板（PCB）から効率的に貴金属を回収することを目的とした。まず、チオ尿素耐性を示す鉄酸化菌株のスクリーニングによりAcidiplasma sp. Fv-Ap株を選択した上で、種々の条件にてTU-bioleaching試験を行った。TU:Fe³⁺ モル比に応じて溶液電位(Eh)が変化する結果、チオ尿素の酸化分解反応、ひいては最終的な金・銀浸出効率が変動した。10 mMチオ尿素および1 mM Fe³⁺使用により98％の金が効果的に浸出したが、銀の浸出に課題が残った。金・銀の効率的な同時浸出を叶える条件最適化を目指した。