資源・素材2024(秋田)

講演情報(2024年8月7日付 確定版)

企画講演

【企画講演】岩盤工学と異分野の融合 [9/11(水) AM 第1会場]

2024年9月11日(水) 09:00 〜 11:50 第1会場 (一般教育2号館 1F 101)

司会:才ノ木 敦士(熊本大学)、羽柴 公博(東京大学)

●近年,持続可能な発展を目的として,様々な大深度地下開発・利用手法が新たに提案され,岩盤工学が取り扱う事象が複雑化してきている。このような状況に対応するためには,従来の岩盤工学が主として対象としてきた岩盤の物理,力学,水理特性のみではなく,化学,微生物学,鉱物学,情報技術などの異分野の知見が必要となる。本セッションでは,岩盤工学と関連する最先端の異分野融合研究の例を紹介する。

<発表:25分中、講演20分、質疑応答5分/1件>

11:25 〜 11:50

[2101-06-06] 石灰石鉱山における微生物源追跡技術の利用

○小林 肇1、荒木 裕也1、佐藤 光三1 (1. 東京大学)

司会:羽柴 公博(東京大学)

キーワード:環境微生物、モニタリング、地下水

微生物源追跡(Microbial Source Tracking: MST)とは、水など環境から採取した試料に含まれる微生物種のDNAを分析することで、水源など同試料が由来する環境についての情報を得るモニタリング手法である。埼玉県秩父市の武甲山の石灰石鉱床から採取した水試料に対してMSTを適用し、原位置の地下水挙動に関する情報の取得を試みた。武甲山の計9ヶ所から水試料を採取し、各水試料中の微生物菌叢の組成(含まれる微生物種の系統型の同定と検出された配列の数)を解析した。各試料間のコサイン類似度を算出したところ、緑色岩類を通過するボーリングなど同種の環境に由来する水試料同士の微生物菌叢が類似している、すなわちそれぞれの環境ごとに特有の微生物種が存在していることが示唆された。また、各水試料で検出数が多く、かつ性状が特徴的な微生物種を抽出したところ、鉄酸化細菌種が緑色岩類層に由来する湧水のマーカーとして利用できることが示唆された。以上より、水試料の微生物種の情報が鉱山内部の構造を反映していることが示唆され、MSTが石灰石鉱山の地下水挙動のモニタリングに有用である可能性が示唆された。

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