ポスター発表ショート講演（環境／リサイクル） ［9/11(水) PM 第2会場］

[2209-27-03] 天然岩石を利用した酸性廃水中和処理および有害重金属類除去の検討

○南方 陽太^{1[修士課程]}、川辺 能成¹ (1. 早稲田大学)

司会：菅原 一輝（北九州市立大）

キーワード：酸性坑廃水、ウォラストナイト、オリビンサンド、中和処理、重金属

日本に存在する閉鉱山からは有害重金属を含む酸性度の高い坑廃水が継続的に排出されており，大規模な廃水処理が必要となっている。坑廃水の一般的な処理方法は，薬剤で中和した後，固液分離により金属を分離する方法である。薬剤としては消石灰や炭酸カルシウムなどが用いられることが多いが，コストや反応性などが課題である。
　本研究では，アルカリ成分を含む岩石としてウォラストナイト，オリビン，軽石に着目し中和剤としての適用性を検討した。これらの岩石を硫酸溶液や実酸性河川水に投入して中和実験を行い，中和効果，反応速度，有害重金属の除去効果を評価した。
　各岩石と河川水の実験から，河川水の環境基準を満たすのに要した時間はウォラストナイト，オリビン，軽石の順であったため，中和効果も同様の順で優れていることが示唆された。反応速度を調べたところ，ウォラストナイトと酸性水の反応は一次反応としてモデル化でき，オリビンと酸性水の反応は溶液中に Fe が存在する場合は二次反応，存在しない場合は一次反応として考えられた。中和後の溶液を分析した結果，ウォラストナイトは有害重金属の除去に有効な中和剤であることが明らかになった。