ポスター発表ショート講演（鉱物処理／リサイクル） ［9/11(水) PM 第3会場］

[2309-27-06] アルミニウムと酸化鉄を用いたチオ硫酸アンモニウム溶液からの金の選択的回収

○岡田 奈子^{1[修士課程]}、廣吉 直樹¹、ゾレータ ジョシュア³、マンドゥ タクンダ⁴、伊藤 真由美¹、イルファン パク¹、サンヒ ジョン²、エラクネス ヨガラジャ¹ (1. 北海道大学、2. 秋田大学、3. ミンダナオ州立イリガン工科大学、4. ジンバブエ大学)

司会：高谷 雄太郎（東京大学）

キーワード：金、浸出、チオ硫酸アンモニウム、半導体電気化学、酸化鉄

チオ硫酸アンモニウム浸出はシアン浸出よりも安全な天然鉱石からの金の抽出法だが，貴液からの金の回収法が確立していない．本研究では金の回収法として，アルミニウムを電子供与体，酸化鉄（赤鉄鉱や磁鉄鉱）を電子媒体とする還元析出法（セメンテーション法）について検討した．貴液には浸出した金チオ硫酸錯体と，金に対する浸出触媒である銅アンミン錯体が含まれており、通常のセメンテーション法では還元電位の高い銅アンミン錯体が還元電位の低い金チオ硫酸錯体とともに非選択的に還元析出する．しかし，半導体である酸化鉄を介して電子を供給すると，浸出触媒である銅アンミン錯体を溶液中に残存させたまま，金イオンのみを選択的に還元析出させることができた．各金属種の還元電位と酸化鉄の半導体バンド構造を比較したところ，金チオ硫酸錯体の還元電位はn型半導体である酸化鉄の伝導帯下端とほぼ一致していたが，銅アンミン錯体の還元電位は禁制帯に位置していた．このため，酸化鉄から銅アンミン錯体への電子移動が制限され，金のみが選択的に還元析出したものと考えられる．