資源・素材2024(秋田)

講演情報(2024年8月7日付 確定版)

企画講演

【企画講演】学会長期テーマプロジェクト-第2期のスタートアップと第1期のフォローアップ [9/12(木) PM 第5会場]

2024年9月12日(木) 13:00 〜 17:00 第5会場 (一般教育2号館 3F 301) (一般教育2号館 3F 301)

司会:小池 克明(京都大学)

●日本鉱業振興会の助成により学会長期テーマプロジェクトが第1期から継続され,厳正な審査を経て2024年3月に7件の第2期課題が採択された。統括リーダーから第2期の趣旨説明に引き続き,スタートアップした各採択課題の研究内容や目指すところなどを発表いただく。また,第1期の7課題のフォローアップとして,各課題の研究成果の総括やその後の発展などを発表いただく。

<発表:10分中、講演10分、質疑応答は最後にまとめて「総括・討論」で行う/1件><発表:20分中、講演15分、質疑応答5分/1件>

16:00 〜 16:10

[3507-19-10] 海水浮遊選鉱における海洋鉄酸化細菌を用いた黄鉄鉱の浮遊抑制技術の検討

○淵田 茂司1、牧田 寛子1、小山 恵史5、清水 佑馬1、三浦 響4、所 千晴2,3 (1. 東京海洋大学、2. 早稲田大学、3. 東京大学、4. 神奈川工科大学、5. 九州大学)

司会:小池 克明(京都大学)

キーワード:浮遊選鉱、鉄酸化細菌、海水、黄鉄鉱

本研究課題では,海洋に生息する鉄酸化細菌(MFOB)を前処理や操業段階で利用することで鉱物表面の酸化促進,菌体や代謝物の選択的吸着等の反応を利用し,アルカリ剤の添加なしで海水を用いて硫化鉱物を浮遊選別 (浮選) できる技術の開発を目指した。具体的には,過去の研究航海調査で単離,培養に成功している複数種のMFOBを用いて黄鉄鉱の浮遊抑制試験を実施し,MFOBによる黄鉄鉱表面の化学性状の変化について調査を行った。複数種のMFOBを用いてプレコンディショニングを実施し浮遊選鉱試験を実施した結果,いくつかのMFOB種で黄鉄鉱の浮遊抑制効果が確認された。一方で,全く浮遊抑制効果を示さない菌種もみられた。X線光電子分光による分析では,菌種ごとに黄鉄鉱表面で生成する親水性鉱物の種類や生成量には大きな違いは見られなかった。黄鉄鉱への菌体吸着試験を実施した結果,いずれの菌種も黄鉄鉱に対して高い吸着能を示した。MFOB種によって菌体が有する親水性・疎水性が異なることから,これにより黄鉄鉱の浮遊性に違いがみられると結論付けられる。MFOBが黄鉄鉱に親和性の高いタンパク質を有している可能性があり,今後は具体的な吸着メカニズムについて調査を進める。