一般社団法人資源・素材学会 2025年度 春季大会

講演情報(2025年2月5日付 確定版)

企画講演

【企画講演】招請講演:日本鉱業協会 現場担当者会議より(プロセス・素材)  [3/12(水) PM  第3会場]

2025年3月12日(水) 15:30 〜 17:00 第3会場(6号館 3階 635)

司会:谷ノ内 勇樹(九州大学)

●本会では、「春季・秋季大会」の活性化の一環として、講演対象をよりエンジニアリング部門へ広げ、産学それぞれが気づきの多い充実した大会を目指しております。日本鉱業協会「全国鉱山・製錬所現場担当者会議」での発表者より招請者を選定し、産学相互交流によるニーズ/シーズ発見の場としていただくために本セッションを企画いたしました。

<発表:30分中、講演25分、質疑応答5分/1件>

16:00 〜 16:30

[1K0307-09-02] 近赤外線遮蔽機能を有するナノカプセルの開発

○伊藤 孝郁1、長南 武1、竹内 麻衣奈2、菊地 守也2、工藤 拓実2、川口 正剛2 (1. 住友金属鉱山株式会社、2. 山形大学)

司会:谷ノ内 勇樹(九州大学)

キーワード:近赤外線、カプセル、セシウムドープ酸化タングステン、ナノ粒子、環境

太陽光線は、紫外線、可視光線および赤外線の3つに分かれるが、中でも近赤外線(800~2500nm)は太陽光エネルギーの46%を占める。住友金属鉱山が開発したセシウムドープ酸化タングステン(CsWO)微粒子は、高い可視光透明性を維持しながら近赤外線を効率的に吸収するため、車両・建築用の窓部材や樹脂添加剤として広く実用化されている。また、衣料、農業、電子・光学デバイスなど多岐にわたる分野で応用が進んでいる。しかし、高温のアルカリ環境下で分解しやすい問題がある。筆者らは、ミニエマルション重合法によりCsWOナノ粒子を耐アルカリ性に優れるポリスチレン(PSt)粒子中に内包するナノカプセルを開発したが、環境負荷の少ない水溶媒を使うプロセスへの転換が課題であった。本研究では、乳化重合法を用いてCsWOナノ粒子のカプセル化を試み、ヘキサデシルアンモニウムクロライド(CTAC)を用いてCsWOナノ粒子表面に二分子層を形成し、Stを“その場乳化重合”することによってナノカプセルの開発に成功した。本手法はミニエマルション重合法に比べて極めて簡便であり、環境負荷の少ない水溶媒を用いる乳化重合法で無機ナノ粒子をナノカプセル化できる新しい手法であると言える。

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