15:50 〜 16:10
[1110-19-08] き裂性カバーロック型残壁における降雨時の表面変位発生メカニズムの検討
司会:吉光奈奈(京都大学)
キーワード:露天掘り鉱山、地下水位上昇、き裂、残壁安定性
石灰石は私たちの社会にとって重要な資源のひとつであり、自給率100%を誇る日本でも数少ない天然資源である.石灰石鉱山では主にベンチカット方式の露天採掘法により採掘が行われ,採掘の進行に伴い残壁が形成される.残壁は地質条件により均質型残壁とカバーロック型残壁に分類される.一般的にカバーロック型残壁においては,石灰石―基盤岩境界の影響により力学的安定性が低下する傾向がある.また,過去の降雨による地下水位の上昇を起因とした残壁の崩壊や変形が国内の鉱山で確認されている.本研究では,個別要素法に基づき,日本の典型的なカバーロック型石灰石鉱山2次元残壁モデルを作成し,カバーロック内部にき裂群を作成した.そして,降雨を想定し,定常時から+30mまで地下水位が上昇した場合の残壁表面およびき裂の変形挙動を解析した.き裂に対し,パラメトリックスタディを行うことにより,き裂の分布ならびに水圧の上昇幅・領域が残壁の変位に与える影響について検討した.その結果,残壁内部のき裂の変形挙動が残壁表面変位に与える影響は限定的であり,地下水位上昇に伴う残壁の弾性的な変形挙動が表面変位に大きな影響を及ぼすことが判明した.
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