12:15 〜 12:25
[O-3-04] 独歩において右方向への不安定性を認めた左足部外果・後果骨折の一症例
【症例紹介】
本症例は左足部外果・後果骨折と診断された70歳代の女性である。自宅の畳で滑り、転倒して受傷した。主訴は「何も持たずに歩きたい」であり、ニードを「独歩の獲得」とした。術後58日目に評価・介入を行った。
【評価とリーズニング】
本症例の独歩では、左足底接地時に左足部外転位であり、左立脚初期から中期での左下腿外側傾斜は少なかった。左立脚後期の左足関節背屈・左股関節伸展が少なくなり、左立脚期は短縮を認めていた。また、左立脚中期以降で右方向への不安定性が生じており、その時に左内果前下方にNumerical Rating Scale(以下NRS)4の疼痛を認めていた。右方向への不安定性が生じた要因として、左立脚初期から中期の左足部回内が乏しく、左足関節背屈と左下腿外側傾斜が不十分となり、左立脚後期が短縮したためと考えた。仮説として左足部外がえし可動域制限、左足部内がえし筋力低下を考えた。関節可動域検査を行ったところ左足部外がえしは0°であった。徒手筋力検査を行ったところ左足部内がえしは4であった。また、レッグヒールアングルは5°回外位を認めており、後方からの立位姿勢観察では、左足部外転位・左距骨下関節回外位、左ショパール関節・リスフラン関節は回内位であった。立位姿勢、歩行観察より左距骨下関節は回外位であり、左下腿外側傾斜が生じないため、前足部への荷重が行いにくいと考えられる。そのため、左足部外転位での足底接地を行い、左ショパール関節の外転と過度な回内運動により、下腿外側傾斜を生じずに前足部への荷重を促していると考えた。また、左ショパール関節での過度な回内が生じ、左内果前下方に疼痛が生じたと考えた。そのため、今回は左距骨下関節回外位に着目をした。
【介入と結果】
左距骨下関節回外位を改善するため、左距骨下関節回内ROMと、側方での上肢支持下にてウエイトシフトを1回20分介入にて実施した。その結果、距骨下関節回外位が改善することで下腿外側傾斜が出現した。また、前足部への荷重が促しやすくなり、足部外転位からのショパール関節の回内運動を生じる必要性がなくなったため左足底接地時の左足部外転位は軽減した。左立脚後期は延長し、右ステップ長が増大していた。その結果、左立脚中期以降の右方向への不安定性は軽減し、左内果前下方の疼痛はNRS1に軽減を認めた。理学療法評価では、左足部外がえし可動域は0°から10°と改善を認めた。またレッグヒールアングルは0°であった。後方からの立位姿勢観察では、左足部外転位は軽減していた。左距骨下関節は回内外中間位となり、左ショパール・リスフラン関節の過度な回内位は軽減を認めた。
【結論】
今回、距骨下関節回外位に着目して治療を行ったことにより、隣接関節であるショパール関節の過度な回内運動の改善を認め、結果疼痛の軽減と左立脚中期以降での右方向へのふらつきの軽減を認めた。今回の治療を通して、動作観察から関節運動を把握し、治療を進めていくことの重要性を学んだ。
【倫理的配慮、説明と同意】
事前に書面と口頭にて発表の目的・趣旨を説明し同意を得た。
本症例は左足部外果・後果骨折と診断された70歳代の女性である。自宅の畳で滑り、転倒して受傷した。主訴は「何も持たずに歩きたい」であり、ニードを「独歩の獲得」とした。術後58日目に評価・介入を行った。
【評価とリーズニング】
本症例の独歩では、左足底接地時に左足部外転位であり、左立脚初期から中期での左下腿外側傾斜は少なかった。左立脚後期の左足関節背屈・左股関節伸展が少なくなり、左立脚期は短縮を認めていた。また、左立脚中期以降で右方向への不安定性が生じており、その時に左内果前下方にNumerical Rating Scale(以下NRS)4の疼痛を認めていた。右方向への不安定性が生じた要因として、左立脚初期から中期の左足部回内が乏しく、左足関節背屈と左下腿外側傾斜が不十分となり、左立脚後期が短縮したためと考えた。仮説として左足部外がえし可動域制限、左足部内がえし筋力低下を考えた。関節可動域検査を行ったところ左足部外がえしは0°であった。徒手筋力検査を行ったところ左足部内がえしは4であった。また、レッグヒールアングルは5°回外位を認めており、後方からの立位姿勢観察では、左足部外転位・左距骨下関節回外位、左ショパール関節・リスフラン関節は回内位であった。立位姿勢、歩行観察より左距骨下関節は回外位であり、左下腿外側傾斜が生じないため、前足部への荷重が行いにくいと考えられる。そのため、左足部外転位での足底接地を行い、左ショパール関節の外転と過度な回内運動により、下腿外側傾斜を生じずに前足部への荷重を促していると考えた。また、左ショパール関節での過度な回内が生じ、左内果前下方に疼痛が生じたと考えた。そのため、今回は左距骨下関節回外位に着目をした。
【介入と結果】
左距骨下関節回外位を改善するため、左距骨下関節回内ROMと、側方での上肢支持下にてウエイトシフトを1回20分介入にて実施した。その結果、距骨下関節回外位が改善することで下腿外側傾斜が出現した。また、前足部への荷重が促しやすくなり、足部外転位からのショパール関節の回内運動を生じる必要性がなくなったため左足底接地時の左足部外転位は軽減した。左立脚後期は延長し、右ステップ長が増大していた。その結果、左立脚中期以降の右方向への不安定性は軽減し、左内果前下方の疼痛はNRS1に軽減を認めた。理学療法評価では、左足部外がえし可動域は0°から10°と改善を認めた。またレッグヒールアングルは0°であった。後方からの立位姿勢観察では、左足部外転位は軽減していた。左距骨下関節は回内外中間位となり、左ショパール・リスフラン関節の過度な回内位は軽減を認めた。
【結論】
今回、距骨下関節回外位に着目して治療を行ったことにより、隣接関節であるショパール関節の過度な回内運動の改善を認め、結果疼痛の軽減と左立脚中期以降での右方向へのふらつきの軽減を認めた。今回の治療を通して、動作観察から関節運動を把握し、治療を進めていくことの重要性を学んだ。
【倫理的配慮、説明と同意】
事前に書面と口頭にて発表の目的・趣旨を説明し同意を得た。
要旨・抄録、PDFの閲覧には参加者用アカウントでのログインが必要です。参加者ログイン後に閲覧・ダウンロードできます。
» 参加者用ログイン