[P-1-04] 姿勢制御障害を呈したWallenbelg症候群症例に対する集中的な触圧覚刺激の理学療法効果
【症例紹介】
40代男性歩行時に右側へのふらつきを自覚、回転性のめまい、右顔面、左半身の感覚障害を呈し歩行困難になり受診。右延髄外側の急性期脳梗塞と診断され入院の運びとなった。
【評価とリーズニング】
画像所見より、前庭脊髄路、後脊髄小脳路、外側脊髄視床路の障害が予測された。
第3病日の評価は、眼振+ Stroke Impairment Assessment Set(SIAS)66点(下肢近位股2点膝3点、表在感覚上下肢2点、腹筋1点、垂直2点)感覚機能では、右顔面、左半身に温痛覚低下あり。Scale for the rating of ataxia(SARA)7点(歩行3点、立位3点、座位1点)Trunk Ataxic Test:StageⅢ Scale for Contraversive Pushing(SCP)座位:0.25点、立位:1.25点平衡機能:閉脚立位、 Man試験、片脚立位は保持できず、右へ偏移、転倒傾向を認めた。ADL起居:最小介助。端座位:見守り。起立:右へ偏移し最小介助。立位、歩行:右への偏移、ワイドベースを認め最小介助。内観は「右へ倒れを修正できない。」であった。麻痺はなくpushingや修正による抵抗もなく前庭脊髄路と後脊髄小脳路に障害があることから起立、立位、歩行時の右への偏移はLateropulsion(LP)による偏移と判断。
画像所見、理学療法評価から前庭脊髄路の障害からめまい、眼振、体幹右下肢の筋力低下。後脊髄小脳路の障害から体幹失調と体幹右下肢の固有受容感覚障害。二つの神経回路の障害により右へLPが生じていると考える。これらが原因で立位、歩行動作の姿勢制御障害を招いていると考えた。意識に上らない深部感覚神経路の障害を認めるため、理学療法では触圧覚等の意識に上る感覚入力を利用した介入が必要であると考えた。
【介入と結果】
体幹失調、右下肢近位筋の筋力低下に対して、弾性包帯を体幹から骨盤帯に使用した。姿勢制御障害に対して立位練習では、特に残存している触圧覚を利用した課題を集中的に行った。触圧覚は人工芝と徒手を利用した。立位にて触圧覚刺激を入れた中で重心移動練習を行った。立位でのLPの軽減が得られてから歩行練習を実施。歩行では右立脚期での荷重に意識を向けた。
2日間の介入後、立位、独歩ともに見守りレベル。内観は「右への傾きがあまりなくスムーズに歩ける。」SARA5点(歩行2点、立位3点、座位0点) SCP座位0点 立位0.25点 閉脚立位が可能でLPは軽減。介入後の即時的な効果が得られ動作、評価項目の得点向上認めた。
【結論】
本症例は、wallenbelg症候群にて体幹失調、姿勢制御障害、めまい、左半身の温痛覚障害を呈した。特に強く障害の出た姿勢制御障害に対して触圧覚を集中的に入力しながら介入した。障害部位に対して意識のできる触圧覚入力をすることで代償的な感覚フィードバックが即時的に動作レベルの改善に繋がった可能性がある。感覚入力の手段、環境設定について今後検討が必要と考える。
【倫理的配慮 説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に十分な説明をした上で同意を得た。
40代男性歩行時に右側へのふらつきを自覚、回転性のめまい、右顔面、左半身の感覚障害を呈し歩行困難になり受診。右延髄外側の急性期脳梗塞と診断され入院の運びとなった。
【評価とリーズニング】
画像所見より、前庭脊髄路、後脊髄小脳路、外側脊髄視床路の障害が予測された。
第3病日の評価は、眼振+ Stroke Impairment Assessment Set(SIAS)66点(下肢近位股2点膝3点、表在感覚上下肢2点、腹筋1点、垂直2点)感覚機能では、右顔面、左半身に温痛覚低下あり。Scale for the rating of ataxia(SARA)7点(歩行3点、立位3点、座位1点)Trunk Ataxic Test:StageⅢ Scale for Contraversive Pushing(SCP)座位:0.25点、立位:1.25点平衡機能:閉脚立位、 Man試験、片脚立位は保持できず、右へ偏移、転倒傾向を認めた。ADL起居:最小介助。端座位:見守り。起立:右へ偏移し最小介助。立位、歩行:右への偏移、ワイドベースを認め最小介助。内観は「右へ倒れを修正できない。」であった。麻痺はなくpushingや修正による抵抗もなく前庭脊髄路と後脊髄小脳路に障害があることから起立、立位、歩行時の右への偏移はLateropulsion(LP)による偏移と判断。
画像所見、理学療法評価から前庭脊髄路の障害からめまい、眼振、体幹右下肢の筋力低下。後脊髄小脳路の障害から体幹失調と体幹右下肢の固有受容感覚障害。二つの神経回路の障害により右へLPが生じていると考える。これらが原因で立位、歩行動作の姿勢制御障害を招いていると考えた。意識に上らない深部感覚神経路の障害を認めるため、理学療法では触圧覚等の意識に上る感覚入力を利用した介入が必要であると考えた。
【介入と結果】
体幹失調、右下肢近位筋の筋力低下に対して、弾性包帯を体幹から骨盤帯に使用した。姿勢制御障害に対して立位練習では、特に残存している触圧覚を利用した課題を集中的に行った。触圧覚は人工芝と徒手を利用した。立位にて触圧覚刺激を入れた中で重心移動練習を行った。立位でのLPの軽減が得られてから歩行練習を実施。歩行では右立脚期での荷重に意識を向けた。
2日間の介入後、立位、独歩ともに見守りレベル。内観は「右への傾きがあまりなくスムーズに歩ける。」SARA5点(歩行2点、立位3点、座位0点) SCP座位0点 立位0.25点 閉脚立位が可能でLPは軽減。介入後の即時的な効果が得られ動作、評価項目の得点向上認めた。
【結論】
本症例は、wallenbelg症候群にて体幹失調、姿勢制御障害、めまい、左半身の温痛覚障害を呈した。特に強く障害の出た姿勢制御障害に対して触圧覚を集中的に入力しながら介入した。障害部位に対して意識のできる触圧覚入力をすることで代償的な感覚フィードバックが即時的に動作レベルの改善に繋がった可能性がある。感覚入力の手段、環境設定について今後検討が必要と考える。
【倫理的配慮 説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に十分な説明をした上で同意を得た。
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