第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-11] P-11

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-11 (webポスター会場)

座長:徳久 謙太郎(友紘会総合病院)、前田 将吾(関西医科大学附属病院)

[P-11-05] 左被殻出血後重度片麻痺患者に対し、予後予測に基づき歩行獲得を目標とした一症例報告

*岡田 悠里1、藤田 良樹1 (1. 森之宮病院)

【症例紹介】50歳代男性、左被殻出血により右上下肢重度片麻痺、注意障害、失語症を呈した症例を担当した。リハビリ目的で当院回復期病棟へ入院され、体幹機能及び非麻痺側下肢筋力の評価に基づいた歩行の予後予測を行い、介入を行った経過を報告する。
【評価とリーズニング】入院時(発症5週目)のFIMは30/126点(運動項目18/91点、認知項目12/35点)、麻痺側運動機能評価はFugl-Meyer(以下FMA)上肢4/66点、下肢4/34点であり、上下肢共に随意運動困難であった。感覚評価は麻痺側上下肢の表在及び深部感覚の重度鈍麻を認めた。体幹機能評価はTrunk control test(以下TCT)62/100点、バランス評価はBerg balance scale(以下BBS)10/56点、非麻痺側膝伸展筋力はMMT4であった。基本動作は、寝返りは左右共に見守り、起き上がりは中等度介助を要したが、入院1週目に見守りで可能となった。端座位保持及び支持物使用での立ち上がり・立位保持は見守りで可能であったが、支持物無しでは麻痺側の膝折れにより立位保持困難であった。歩行は麻痺側立脚初~中期の膝折れや麻痺側下肢の振り出しが困難で介助量多く実施不可であった。退院時の目標設定において、吉松ら(2018)は歩行自立のカットオフ値は回復期への入院時評価でBBS13点とし、本症例は歩行自立困難と考えられた。しかし、Collinら(1990)は脳卒中発症6週目にTCT50点以上であることが発症18週時点で補助具の使用を問わず10m歩行が見守り以上となる因子と報告している。また、平野ら(2015)は重度脳卒中片麻痺者の歩行可否に関与する因子として体幹機能及び非麻痺側膝伸展筋力を挙げている。以上より、体幹機能及び非麻痺側下肢筋力評価の観点から屋内歩行獲得を目標として介入を行った。
【介入と結果】入院1か月目は骨盤の選択運動により下部体幹の安定性向上、立ち上がりやステップ動作の中で麻痺側下肢の支持性向上を図った。歩行練習では長下肢装具を使用し、1~2か月目は短下肢装具を併用し練習を行った。入院2か月時にFMA下肢5/34点、TCT100/100点、BBS16/56点となり、支持物無しでの最大2分間の立位保持やベッド柵使用での移乗動作が見守り、歩行は短下肢装具を使用し手すり歩行が10m軽介助で可能となった。入院2か月目は上部体幹の伸展活動の活性化を促し、短下肢装具を使用した歩行練習や、筋電図を用いたバイオフィードバックにより歩行時の徒手的介入方法の検討や装具選定を行った。入院3か月時はBBSの得点に変化は無かったが、FMA下肢7/34点となり、短下肢装具を使用し手すり歩行が10m見守りで可能となった。
【結論】入院3か月時(発症18週目)に麻痺側下肢の運動機能に大きな変化を認めなかったが、体幹及びバランス機能に変化を認め、手すり歩行が見守りで可能となった。
【倫理的配慮、説明と同意】当院倫理委員会の承認を得て(承認番号436番)、ヘルシンキ宣言に基づき、本人に書面にて説明を行い同意を得た。

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