第33回大阪府理学療法学術大会

講演情報

Webポスター

[P-14] 研究報告③(脳損傷・基礎・教育管理)P-14

2021年7月11日(日) 08:45 〜 15:30 Web Poster:P-14 (webポスター会場)

座長:木内 隆裕(森ノ宮医療大学)

[P-14-03] 脳卒中重度片麻痺患者の歩行自立度に影響する因子-KAFOを用いた早期離床を含む検討-

*渡辺 広希1、堀田 旭1、山本 洋司1,2 (1. 関西電力病院リハビリテーション部、2. 関西電力医学研究所)

【背景と目的】

脳卒中患者の歩行自立度に年齢、高次脳機能、運動麻痺、発症前ADLなどが影響することが知られている。一方、KAFOは脳卒中治療ガイドラインなどを背景に、重症脳卒中患者の早期離床だけでなく歩行再建を担う重要なツ-ルとして認識されている。過去の報告では、慢性期脳卒中重度片麻痺患者の歩行自立度にKAFO歩行が影響することが報告されている。しかし発症早期、いわゆる急性期におけるKAFOを用いた立位および歩行が歩行自立度に与える影響は不明である。そこで今回、KAFOを用いた早期立位および歩行を実施した脳卒中重度片麻痺患者を対象に、発症3か月後の歩行自立度に影響する因子を検討した。

【方法】

研究デザインは後ろ向き縦断研究とした。対象は2015年から2019年までに脳卒中で当院へ入院し、当院回復期リハビリテ-ション病棟(回リハ病棟)に転科した37名とした。解析対象は、除外基準(SAH、出血性梗塞、脳卒中再発、発症前mRS>3、転院例)に該当した者を除き、20名(年齢:70.6±13.0歳、女性:13名、男性:7名)であった。基礎属性として病巣側、外科的治療の有無、t-PA治療の有無、発症前mRS、入院時NIHSSを調査した。入院時の評価としてJCS、下肢FMA、下肢Motricity Index(MI)、Hoffer座位能力分類を調査した。また発症3か月後の評価として下肢FMA、下肢MI、MMSE、FACを調査した。リハ関連項目として発症からKAFOを用いた立位ならびに歩行開始までの日数、3か月間のリハ実施時間、回リハ病棟転科までの日数を調査した。統計学的解析としてFACと各調査項目との関連をSpearmanの順位相関係数を用いて検討し、相関関係を認めた項目を独立変数として重回帰分析を行った。統計ソフトはIBM SPSS statistics ver. 22.0を使用し、有意水準は5%とした。

【結果】

FACと有意な相関関係を認めた項目は入院時のNIHSS(r=-0.45)、JCS(r=-0.57)、非麻痺側MI(r=0.72)、発症3か月後の下肢FMA motor(r=0.60)、非麻痺側MI(r=0.61)、MMSE(r=0.71)、発症からKAFO歩行開始までの日数(r=-0.720)、リハ実施時間(r=0.636)、回リハ病棟転科までの日数(r=-0.53)であった(p<0.05)。重回帰分析の結果、FACに影響する因子は発症3か月後のMMSE(β=0.60)、発症からKAFO歩行開始までの日数(β=-0.59)であった(自由度調整済R2=0.83)。因子間の多重共線性は認めなかった。

【結論】

急性期脳卒中重度片麻痺患者において早期KAFO歩行練習は歩行自立度に影響することが示唆された。

【倫理的配慮、説明と同意】

本発表に際して個人情報の取り扱いには十分留意し、また当院倫理委員会の承認を得た(承認番号第20–109)。

要旨・抄録、PDFの閲覧には参加者用アカウントでのログインが必要です。参加者ログイン後に閲覧・ダウンロードできます。
» 参加者用ログイン