[P-15-01] 透析導入及び理学療法介入により、日常生活活動が改善した症例
【症例紹介】
慢性腎臓病の進行により、心原性肺水腫を発症しADL(Activities of Daily Living)が低下したものの、透析導入及び理学療法により、施設へ再入所できた症例を報告する。
80代の男性、既往歴に糖尿病性腎症、要支援1で介護付き高齢者住宅に入所していた。入院前ADLは、移乗軽介助、食事は車椅子に座って摂取していた。これまで透析導入は希望されなかったが、X日に心原性肺水腫で入院され、呼吸苦から透析を希望された。X+5日から血液透析開始、X+7日から理学療法開始、X+39日に段階的腹膜透析導入法を施行し、X+40日から腹膜透析開始となった。施設への再入所の条件は移乗が1人介助で行えること、車椅子に座って食事が可能になることであった。
【評価とリーズニング】
初期評価時の血液データでは、BUN: 74.0 mg/dL、CRE: 11.54 mg/dL、eGFR: 3.7 ml/min、Alb: 2.1 g/dLであった。また、呼吸苦があり、SpO2: 94~95%(酸素1L)であった。両下腿から足部に浮腫があり、下腿周径(右/左, ㎝)は32.5/35.5であった。筋力(Manual Muscle Testing, 右/左)は膝関節伸展2/2・足関節背屈3/3、関節可動域(右/左,°)は膝関節伸展-20/-10・足関節背屈0/0、FIM(Functional Independence Measure)は 46点(運動21点・認知25点)であった。移乗は膝折れがあり、踏み返しが行えず中介助であった。食事は倦怠感からベッド上で摂取することも多かった。問題点は、倦怠感、呼吸苦、浮腫、下肢筋力の低下とし、移乗動作の介助量軽減、食事が車椅子で摂取できることを目標に、運動負荷量、血液データ等に注意し理学療法を開始した。
【介入と結果】
開始数日は呼吸苦のため、ベッド上で関節可動域運動を中心に介入した。透析による体重管理により呼吸苦が軽減したため、それに伴い立位・移乗練習を負荷量の確認をしながら実施した。リスク管理として、透析導入直後に出現する不均衡症候群に注意する、呼吸数・血圧を確認しながら運動負荷量を決定する、腹膜透析のカテーテル留置により、腹臥位や腹圧が強くかかる運動を避けて実施するなどを行った。
最終評価では、BUN: 37.1 mg/dL, CRE: 6.36 mg/dL, eGFR: 7.1 ml/min, Alb: 2.4 g/dL、呼吸苦は消失し、SpO2 94~96%(酸素なし)、周径は下腿29.0/29.5、筋力は膝関節伸展3/3・足関節背屈4/4、関節可動域は膝関節伸展-15/-10・足関節背屈5/5に改善した。FIM63点(運動38・認知25点)で食事・整容・移乗が改善した。移乗は膝折れが若干あるものの、踏み返しが行え、軽介助になった。また、車椅子で食事も可能になり、施設へ再入所された。
【結論】
透析導入後から全身状態を把握して介入したことにより、ADLが改善し、施設へ再入所できた症例であった。
【倫理的配慮、説明と同意】
発表にあたり、患者の個人情報とプライバシーの保護に配慮し、書面で同意を得た。
慢性腎臓病の進行により、心原性肺水腫を発症しADL(Activities of Daily Living)が低下したものの、透析導入及び理学療法により、施設へ再入所できた症例を報告する。
80代の男性、既往歴に糖尿病性腎症、要支援1で介護付き高齢者住宅に入所していた。入院前ADLは、移乗軽介助、食事は車椅子に座って摂取していた。これまで透析導入は希望されなかったが、X日に心原性肺水腫で入院され、呼吸苦から透析を希望された。X+5日から血液透析開始、X+7日から理学療法開始、X+39日に段階的腹膜透析導入法を施行し、X+40日から腹膜透析開始となった。施設への再入所の条件は移乗が1人介助で行えること、車椅子に座って食事が可能になることであった。
【評価とリーズニング】
初期評価時の血液データでは、BUN: 74.0 mg/dL、CRE: 11.54 mg/dL、eGFR: 3.7 ml/min、Alb: 2.1 g/dLであった。また、呼吸苦があり、SpO2: 94~95%(酸素1L)であった。両下腿から足部に浮腫があり、下腿周径(右/左, ㎝)は32.5/35.5であった。筋力(Manual Muscle Testing, 右/左)は膝関節伸展2/2・足関節背屈3/3、関節可動域(右/左,°)は膝関節伸展-20/-10・足関節背屈0/0、FIM(Functional Independence Measure)は 46点(運動21点・認知25点)であった。移乗は膝折れがあり、踏み返しが行えず中介助であった。食事は倦怠感からベッド上で摂取することも多かった。問題点は、倦怠感、呼吸苦、浮腫、下肢筋力の低下とし、移乗動作の介助量軽減、食事が車椅子で摂取できることを目標に、運動負荷量、血液データ等に注意し理学療法を開始した。
【介入と結果】
開始数日は呼吸苦のため、ベッド上で関節可動域運動を中心に介入した。透析による体重管理により呼吸苦が軽減したため、それに伴い立位・移乗練習を負荷量の確認をしながら実施した。リスク管理として、透析導入直後に出現する不均衡症候群に注意する、呼吸数・血圧を確認しながら運動負荷量を決定する、腹膜透析のカテーテル留置により、腹臥位や腹圧が強くかかる運動を避けて実施するなどを行った。
最終評価では、BUN: 37.1 mg/dL, CRE: 6.36 mg/dL, eGFR: 7.1 ml/min, Alb: 2.4 g/dL、呼吸苦は消失し、SpO2 94~96%(酸素なし)、周径は下腿29.0/29.5、筋力は膝関節伸展3/3・足関節背屈4/4、関節可動域は膝関節伸展-15/-10・足関節背屈5/5に改善した。FIM63点(運動38・認知25点)で食事・整容・移乗が改善した。移乗は膝折れが若干あるものの、踏み返しが行え、軽介助になった。また、車椅子で食事も可能になり、施設へ再入所された。
【結論】
透析導入後から全身状態を把握して介入したことにより、ADLが改善し、施設へ再入所できた症例であった。
【倫理的配慮、説明と同意】
発表にあたり、患者の個人情報とプライバシーの保護に配慮し、書面で同意を得た。
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