[P-15-05] 屋外移動が自立し、通勤手段を確立した一例
ー訪問リハビリの役割ー
屋外移動が自立し、通勤手段を確立した一例
—訪問リハビリの役割—
馬場記念病院リハビリテーション部 訪問リハビリ
斉藤沙哉佳 松元一世 相奈良浩介
【症例紹介】
49歳、女 もやもや病
現病歴:頭痛、意識障害が出現。左側頭葉脳出血、くも膜下出血で入院。16病日、左中大脳動脈領域の脳梗塞で右片麻痺発症。35病日まで急性期病棟、35病日~175病日回復期病棟でリハビリし、176病日サービス付き高齢者住宅(サ高住)へ退院。退院後、週5回の通所リハビリ、週1回の訪問リハビリを開始した。患者の希望は“仕事をしたい”。
(退院時現症:176病日)
神経学的所見:
・右不全片麻痺:MMT上肢 2、手指 3、下肢4(足関節背屈MMT1)
・右上下肢表在覚:軽度鈍麻
・感覚性失語、注意障害、右半側空間無視
リハビリ所見:
屋内は伝い歩き自立(タマラック装具着用)、屋外は車椅子自立。入浴はシャワー浴介助、食事は宅食利用、その他家事動作は介助。屋外歩行は自立していなかった。
【評価とリーズニング】
右不全片麻痺、右半側空間無視により、屋外歩行に監視が必要と評価し、退院後の屋外移動の自立、通勤手段の確立が必要であったため、介護保険サービスで訪問リハを開始した。
【介入と結果】
週1回作業療法(OT)の訪問リハビリで入浴動作訓練、調理訓練を行い主に屋内動作の確認から開始し、退院後2週からは屋外歩行自立を目的に週1回理学療法(PT)の訪問リハビリを追加。OTでは引き続き調理訓練、PTでは通勤手段を確認した。
サ高住からバスの停留所までは遠く、信号を渡ることに時間を要し、公共交通機関の利用を歩行で獲得するのは難しかったので、電動カートを導入した。
業者立ち合いのもとで操作練習、その後訪問リハビリでも操作練習を行った。まずはサ高住近辺で走行、駐車練習。その後はコンビニエンスストアやスーパー、治療中であった歯科医院までの道のりを操作し、駐車する場所を確認しコンビニエンスストア内での動作も独りで可能なことを確認した。この後、一人でコンビニエンスストアやスーパーまで買い物に出かけることが増えた。
退院後12週、訪問リハが週2回に加え、通所リハに週1回、作業所に週5回通うようになった。退院後19週、業者と一緒に通勤ルートを独りで安全に走行できることを確認し、訪問リハビリ終了した。
【結論】
屋外歩行の自立を目的として、訪問リハビリを行ったが歩行は実用性が低かった。電動カートを導入することで行動範囲が拡大し、屋外移動が自立し、通勤可能となった。現在、業務は限定されているものの、元の職場で常勤介護職員に復職し働いている。
【倫理的配慮、説明と同意】
社会医療法人ペガサス倫理委員会の承認を得た。(承認番号2021-13)
—訪問リハビリの役割—
馬場記念病院リハビリテーション部 訪問リハビリ
斉藤沙哉佳 松元一世 相奈良浩介
【症例紹介】
49歳、女 もやもや病
現病歴:頭痛、意識障害が出現。左側頭葉脳出血、くも膜下出血で入院。16病日、左中大脳動脈領域の脳梗塞で右片麻痺発症。35病日まで急性期病棟、35病日~175病日回復期病棟でリハビリし、176病日サービス付き高齢者住宅(サ高住)へ退院。退院後、週5回の通所リハビリ、週1回の訪問リハビリを開始した。患者の希望は“仕事をしたい”。
(退院時現症:176病日)
神経学的所見:
・右不全片麻痺:MMT上肢 2、手指 3、下肢4(足関節背屈MMT1)
・右上下肢表在覚:軽度鈍麻
・感覚性失語、注意障害、右半側空間無視
リハビリ所見:
屋内は伝い歩き自立(タマラック装具着用)、屋外は車椅子自立。入浴はシャワー浴介助、食事は宅食利用、その他家事動作は介助。屋外歩行は自立していなかった。
【評価とリーズニング】
右不全片麻痺、右半側空間無視により、屋外歩行に監視が必要と評価し、退院後の屋外移動の自立、通勤手段の確立が必要であったため、介護保険サービスで訪問リハを開始した。
【介入と結果】
週1回作業療法(OT)の訪問リハビリで入浴動作訓練、調理訓練を行い主に屋内動作の確認から開始し、退院後2週からは屋外歩行自立を目的に週1回理学療法(PT)の訪問リハビリを追加。OTでは引き続き調理訓練、PTでは通勤手段を確認した。
サ高住からバスの停留所までは遠く、信号を渡ることに時間を要し、公共交通機関の利用を歩行で獲得するのは難しかったので、電動カートを導入した。
業者立ち合いのもとで操作練習、その後訪問リハビリでも操作練習を行った。まずはサ高住近辺で走行、駐車練習。その後はコンビニエンスストアやスーパー、治療中であった歯科医院までの道のりを操作し、駐車する場所を確認しコンビニエンスストア内での動作も独りで可能なことを確認した。この後、一人でコンビニエンスストアやスーパーまで買い物に出かけることが増えた。
退院後12週、訪問リハが週2回に加え、通所リハに週1回、作業所に週5回通うようになった。退院後19週、業者と一緒に通勤ルートを独りで安全に走行できることを確認し、訪問リハビリ終了した。
【結論】
屋外歩行の自立を目的として、訪問リハビリを行ったが歩行は実用性が低かった。電動カートを導入することで行動範囲が拡大し、屋外移動が自立し、通勤可能となった。現在、業務は限定されているものの、元の職場で常勤介護職員に復職し働いている。
【倫理的配慮、説明と同意】
社会医療法人ペガサス倫理委員会の承認を得た。(承認番号2021-13)
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