[P-3-06] 左不全片麻痺の患者に対し段差昇降訓練を実施した症例
社会医療法人ペガサス ペガサスリハビリテーション病院
稲森 咲穂 福嶋 ゆかり
【症例紹介】
54歳、女性、右利き。病前ADL自立。左被殻脳梗塞(t-PA、血栓回収術実施)。第2病日理学療法開始。第21病日回復期病棟転院。
第52病日現症
・神経学的所見:JCS 3、右不全片麻痺(上肢/手指/下肢MMT 1/1/2、股関節屈曲2、膝伸展2、
足関節背屈1)、感覚障害:中等度鈍麻、失語重度、観念失行、右USN、注意障害(分散)
・理学療法所見:FIM 61点、10m歩行 31,6秒 32歩
大腿四頭筋筋力 L/R 16.5 kgf/6.2 kgf
・歩行: T字杖歩行(タマラックあり) 最小介助
右IC~Mstで右膝関節が急激に伸展し、膝関節に疼痛(NRS2)を生じ右Mst~Pswで左側方への重心移動が不十分で右後方にふらついた
【評価とリーズニング】
右大腿四頭筋筋力低下は、本例の歩行障害の原因になる十分な程に低下していると評価し、これを段差昇降練習で強化することとし、介入を開始した。
【介入と結果】
(介入)
第52病日より歩行練習、階段昇降練習(20cm段差、左手すりを把持、2足1段)に加えて、大腿四頭筋強化を目的とした段差昇降練習を毎日実施した。ここで行ったのは、① 5㎝の段差 ② 10回を1セットとして1日2セット ③ タマラックを装着 ④ 左手で平行棒を把持 ⑤ 右下肢(麻痺側)から昇段し両足を段上で揃え立位となり、その後後向きで左下肢(非麻痺側)から降段する 練習である。
これを第69病日まで18日間継続した。
(結果)
第69病日
・神経学的所見:JCS2、右不全片麻痺(MMT 1/1/2、股関節屈曲2、膝伸展3、足関節背屈2)、
感覚障害:中等度鈍麻、失語重度、観念失行、右USN、注意障害(分散)
・理学療法所見:FIM 87点、10m歩行 24,5秒 31歩
大腿四頭筋筋力 L/R 16.3 kgf/9.3 kgf 3.1Kgf強化された
・歩行: T字杖歩行(タマラックあり):監視
右IC~Mstで右膝関節はゆっくりとした伸展となり、膝関節の疼痛は消失したが、
右Mst~Pswで右後方へのふらつきは残存した。
その後、歩行練習(100m×6 sets/日)を継続したところ、第98病日よりタマラックを用いたT字杖歩行では屋内自立した。
【結論】
右IC~Mstで右膝関節の急激な伸展は大腿四頭筋の筋力低下が大きく関与していると考えた。そこで今回、段差昇降練習を歩行練習、階段昇降練習に加えて実施した。右大腿四頭筋の筋力が向上し、右IC~Mstでの右膝関節の急激な伸展はゆっくりとなり、右膝関節の疼痛が消失した。しかし、観念失行、注意障害(分散)、右USNが影響し、屋外歩行は自立しなかった。
退院後、訪問リハビリで歩行訓練を継続したところ、退院3か月後に屋内は装具なしのT杖歩行自立となり、退院9か月後に屋外はタマラックを用いたT字杖歩行は監視となった。現在も歩行練習を継続している。
【倫理的配慮、説明と同意】
社会医療法人ペガサス倫理委員会の承認を得、研究した(承認番号2021-12)。
稲森 咲穂 福嶋 ゆかり
【症例紹介】
54歳、女性、右利き。病前ADL自立。左被殻脳梗塞(t-PA、血栓回収術実施)。第2病日理学療法開始。第21病日回復期病棟転院。
第52病日現症
・神経学的所見:JCS 3、右不全片麻痺(上肢/手指/下肢MMT 1/1/2、股関節屈曲2、膝伸展2、
足関節背屈1)、感覚障害:中等度鈍麻、失語重度、観念失行、右USN、注意障害(分散)
・理学療法所見:FIM 61点、10m歩行 31,6秒 32歩
大腿四頭筋筋力 L/R 16.5 kgf/6.2 kgf
・歩行: T字杖歩行(タマラックあり) 最小介助
右IC~Mstで右膝関節が急激に伸展し、膝関節に疼痛(NRS2)を生じ右Mst~Pswで左側方への重心移動が不十分で右後方にふらついた
【評価とリーズニング】
右大腿四頭筋筋力低下は、本例の歩行障害の原因になる十分な程に低下していると評価し、これを段差昇降練習で強化することとし、介入を開始した。
【介入と結果】
(介入)
第52病日より歩行練習、階段昇降練習(20cm段差、左手すりを把持、2足1段)に加えて、大腿四頭筋強化を目的とした段差昇降練習を毎日実施した。ここで行ったのは、① 5㎝の段差 ② 10回を1セットとして1日2セット ③ タマラックを装着 ④ 左手で平行棒を把持 ⑤ 右下肢(麻痺側)から昇段し両足を段上で揃え立位となり、その後後向きで左下肢(非麻痺側)から降段する 練習である。
これを第69病日まで18日間継続した。
(結果)
第69病日
・神経学的所見:JCS2、右不全片麻痺(MMT 1/1/2、股関節屈曲2、膝伸展3、足関節背屈2)、
感覚障害:中等度鈍麻、失語重度、観念失行、右USN、注意障害(分散)
・理学療法所見:FIM 87点、10m歩行 24,5秒 31歩
大腿四頭筋筋力 L/R 16.3 kgf/9.3 kgf 3.1Kgf強化された
・歩行: T字杖歩行(タマラックあり):監視
右IC~Mstで右膝関節はゆっくりとした伸展となり、膝関節の疼痛は消失したが、
右Mst~Pswで右後方へのふらつきは残存した。
その後、歩行練習(100m×6 sets/日)を継続したところ、第98病日よりタマラックを用いたT字杖歩行では屋内自立した。
【結論】
右IC~Mstで右膝関節の急激な伸展は大腿四頭筋の筋力低下が大きく関与していると考えた。そこで今回、段差昇降練習を歩行練習、階段昇降練習に加えて実施した。右大腿四頭筋の筋力が向上し、右IC~Mstでの右膝関節の急激な伸展はゆっくりとなり、右膝関節の疼痛が消失した。しかし、観念失行、注意障害(分散)、右USNが影響し、屋外歩行は自立しなかった。
退院後、訪問リハビリで歩行訓練を継続したところ、退院3か月後に屋内は装具なしのT杖歩行自立となり、退院9か月後に屋外はタマラックを用いたT字杖歩行は監視となった。現在も歩行練習を継続している。
【倫理的配慮、説明と同意】
社会医療法人ペガサス倫理委員会の承認を得、研究した(承認番号2021-12)。
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