[P-4-03] 3カ月間での介護負担を考慮した在宅復帰が必要であった重度片麻痺入所者への取り組み
【症例紹介】
右内頚動脈閉鎖による右大脳半球広範囲梗塞にて、急性期病院での開頭内外減圧術後、約4カ月間の回復期病棟でのリハビリテーション(リハ)を経て当介護老人保健施設に入所した、要介護5の50代女性を担当した。病院では在宅復帰困難と判断されるも本氏・家人ともに在宅復帰に強い想いを示した。自宅は一軒家の2階建て。家族構成は5人家族で夫は単身赴任中であり、長女と同居中。主な既往歴は緑内障がある。緑内障の残薬が3カ月間のみであり、3カ月間での在宅復帰が必要であった。
【評価とリーズニング】
全身状態は易疲労性で、リクライニング車椅子にて離床は1回30分程度であった。動作時嘔気・嘔吐を認めた。コミュニケーションは日常会話可能。Brunnstrom Recovery Stage(BRS):手指Ⅱ、上肢Ⅱ、下肢Ⅱ。Mini Mental State Examination(MMSE):22点。感覚検査:表在・深部感覚共に上下肢中等度~重度鈍麻。疼痛:左肩・股関節に動作時痛を認めた。高次脳機能障害は左視空間性注意低下を認めた。基本動作は起居から移乗動作全介助、端座位軽介助。ADLは食事見守り、更衣全介助、排泄全介助、入浴リフト浴で全介助であった。
【介入と結果】
介入当初よりこだわりや痛みの訴えが強く、動作時に嘔気等もありリハが難航し1カ月経過後も離床時間は2時間可能になるも起居・移乗動作は全介助であった。そのため起居動作の介助方法を工夫し、移乗動作はスライディングボードを使用することで嘔気や痛みを軽減させ安全に起居・移乗動作を介助下で行えるように目標設定を変更した。家屋調査では玄関及び廊下のスペースが狭く車椅子では室内への移動は困難と考え、昇降機を使用し居間の窓から室内への移動を考えた。介助下で段差昇降困難であり、寝室を2階から居間へ変更することを提案した。その後多職種カンファレンスを開き、情報共有を行い退所までの流れを設定した。早期より退所後の在宅ケアマネジャーと情報共有を行い、スムーズに在宅復帰が出来るように環境調整や介護サービスの検討を行った。家族指導は退所1カ月前より開始し、コロナ下で面会も制限されていたため、デイケアが終了する16時以降に設定し実施した。事前に介助方法のパンフレットを作成し介助方法を理解した上で、セラピストとともに介助を行い、介助の様子はタブレットで撮影し、動画を見ながらフィードバックを行った。撮影した動画は家族へ提供しいつでも復習できるようにした。試験外出は理学療法士、作業療法士、看護師、施設ケアマネジャー、居宅ケアマネジャー、福祉用具業者が同行し昇降機の使用方法、スライディングボードを使用した移乗介助、ベッド上での排泄介助を家族が安全に実施出来たことを確認し、退所前カンファレンスを開催し退所となった。
【結論】
身体機能の改善は乏しかったが、環境設定や介助方法を工夫し早期から多職種連携を行い目標を統一し介入することで、期間内に在宅復帰が出来た。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき、入所者に十分説明し書面にて同意を得た。
右内頚動脈閉鎖による右大脳半球広範囲梗塞にて、急性期病院での開頭内外減圧術後、約4カ月間の回復期病棟でのリハビリテーション(リハ)を経て当介護老人保健施設に入所した、要介護5の50代女性を担当した。病院では在宅復帰困難と判断されるも本氏・家人ともに在宅復帰に強い想いを示した。自宅は一軒家の2階建て。家族構成は5人家族で夫は単身赴任中であり、長女と同居中。主な既往歴は緑内障がある。緑内障の残薬が3カ月間のみであり、3カ月間での在宅復帰が必要であった。
【評価とリーズニング】
全身状態は易疲労性で、リクライニング車椅子にて離床は1回30分程度であった。動作時嘔気・嘔吐を認めた。コミュニケーションは日常会話可能。Brunnstrom Recovery Stage(BRS):手指Ⅱ、上肢Ⅱ、下肢Ⅱ。Mini Mental State Examination(MMSE):22点。感覚検査:表在・深部感覚共に上下肢中等度~重度鈍麻。疼痛:左肩・股関節に動作時痛を認めた。高次脳機能障害は左視空間性注意低下を認めた。基本動作は起居から移乗動作全介助、端座位軽介助。ADLは食事見守り、更衣全介助、排泄全介助、入浴リフト浴で全介助であった。
【介入と結果】
介入当初よりこだわりや痛みの訴えが強く、動作時に嘔気等もありリハが難航し1カ月経過後も離床時間は2時間可能になるも起居・移乗動作は全介助であった。そのため起居動作の介助方法を工夫し、移乗動作はスライディングボードを使用することで嘔気や痛みを軽減させ安全に起居・移乗動作を介助下で行えるように目標設定を変更した。家屋調査では玄関及び廊下のスペースが狭く車椅子では室内への移動は困難と考え、昇降機を使用し居間の窓から室内への移動を考えた。介助下で段差昇降困難であり、寝室を2階から居間へ変更することを提案した。その後多職種カンファレンスを開き、情報共有を行い退所までの流れを設定した。早期より退所後の在宅ケアマネジャーと情報共有を行い、スムーズに在宅復帰が出来るように環境調整や介護サービスの検討を行った。家族指導は退所1カ月前より開始し、コロナ下で面会も制限されていたため、デイケアが終了する16時以降に設定し実施した。事前に介助方法のパンフレットを作成し介助方法を理解した上で、セラピストとともに介助を行い、介助の様子はタブレットで撮影し、動画を見ながらフィードバックを行った。撮影した動画は家族へ提供しいつでも復習できるようにした。試験外出は理学療法士、作業療法士、看護師、施設ケアマネジャー、居宅ケアマネジャー、福祉用具業者が同行し昇降機の使用方法、スライディングボードを使用した移乗介助、ベッド上での排泄介助を家族が安全に実施出来たことを確認し、退所前カンファレンスを開催し退所となった。
【結論】
身体機能の改善は乏しかったが、環境設定や介助方法を工夫し早期から多職種連携を行い目標を統一し介入することで、期間内に在宅復帰が出来た。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき、入所者に十分説明し書面にて同意を得た。
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