第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-6] P-6

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-6 (webポスター会場)

座長:向井 拓也(愛仁会リハビリテーション病院)

[P-6-02] 大腿骨頸部骨折による人工骨頭置換術後に起立性低血圧を呈し跛行改善に難渋した一症例

*猪ノ口 二葉1、森本 大輔1、新開 涼斗1 (1. 堺若葉会病院)

【症例紹介】84歳女性。自宅玄関にて転倒転倒。右股関節痛認め歩行困難な為、翌日当院救急搬送。右大腿骨頸部骨折(Garden分類StageⅢ)と診断され入院。受傷3日、人工骨頭置換術施行、術中出血量400ml。受傷前は屋外杖なし歩行自立。家事全般は本症例が行っており、約2km先まで自転車で買い物へ行っていた。自宅は2階建て、夫と二人暮らし。手摺りは階段・廊下・浴室に設置。2階に寝室があり、寝具はベッド使用。入院中に要介護1と認定。HOPEは家に帰り、自転車に乗りたい。NEEDを屋内杖なし歩行、屋外2kmのT字杖歩行獲得とした。

【評価とリーズニング】初期(術後2日)、疼痛NRS安静時0/10・動作時1/10。大腿周径(単位㎝ )右52・左43。ROM-T(単位°)右股屈曲90・伸展0。MMT右股屈曲・伸展・外転2、右膝伸展2。右股可動域制限と筋力低下は、術侵襲による腫脹と筋過緊張が原因と推測。術後3日から15日まで起立性低血圧を認め、術後5日に内服していた降圧剤が中止となった。

中間(術後18日)、NRS安静時0/10・歩行時2/10。

大腿周径右41・左43。片脚立位右不可・左10.3秒。10m T字杖歩行27.1秒29歩。T字杖歩行の右立脚中期に右膝・股屈曲・体幹右側屈を認めた。中・大殿筋筋力低下・股伸展可動域制限が原因と推測した。

最終(術後46日)、NRS安静時0/10・歩行時1/10。大腿周径右40・左43。ROM-T右股屈曲100・伸展10。MMT右股屈曲・伸展4、外転3+、右膝伸展4+。片脚立位右14.3秒・左13.2秒。10mT字杖歩行19.1秒25歩。右股伸展可動域改善、膝・股伸展・外転筋力増強により跛行が軽減したと考える。

術後46日、杖なし歩行練習にて体幹右側屈が顕在化した。右立脚中期で回内足を認め、レッグヒールアライメントが右5°・左0°。右中・大殿筋筋力低下に加え右回内足により、右立脚中期の体幹右側屈が助長されていると推測した。

【介入と結果】初期は起立性低血圧を認め離床に難渋した。ベッド上の右股可動域運動、筋力増強運動、バイタルチェックを行い離床促進。自主練習として、股外転運動、殿部挙上、足底背屈運動、ギャッチアップ座位で日記等を勧めた。起立性低血圧消失後は段階的に運動負荷を増加した。術後25日歩行器歩行自立。術後46日屋内外T字杖歩行自立。術後51日自宅退院となった。関節可動域・筋力・歩行能力改善を認め、自宅復帰に必要な、靴下の着脱、床上動作、入浴動作、段差昇降を獲得した。右中殿筋筋力低下と回内足により右立脚中期の体幹右側屈は残存したが200m屋外T字杖歩行を獲得できた。自宅退院後、他院にて外来理学療法継続となった。

【結論】骨折・手術による股関節周囲機能低下ならびに術後貧血や起立性低血圧による循環動態低下に加え、回内足による跛行助長により歩行持久性の獲得に難渋した大腿骨頸部骨折の一症例を経験した。より早期に改善を図るために全身状態の把握と対応の重要性を認識した。

【倫理的配慮、説明と同意】本発表について説明し書面にて同意を得た。

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