第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-7] P-7

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-7 (webポスター会場)

座長:高山 弘幹(大阪こどもとおとなの整形外科)

[P-7-01] 超音波画像診断装置を用いたギプス固定後の足関節可動域制限の評価・治療の経験

*木村 暢人1、脇野 昌司1、田端 洋貴1、坂井 寛充1、水澤 裕貴1、野口 雅矢1、木村 保1 (1. 近畿大学病院 リハビリテーション部)

【症例紹介】

 本症例は,畑作業中,足に芝刈り機が接触し足部開放骨折を受傷し,第1中足骨骨折,第1・2伸筋腱断裂と診断され,同日観血的骨接合術・腱縫合術を施行した(入院・手術日を0病日とする) 60代男性である.身長167cm,体重104kg,BMI 37.3kg/m²であり,仕事は介護施設の送迎を行っていて,利用者の介助が必要である.

【評価とリーズニング】

 55病日にギプス除去され足関節・足趾関節自動運動,1/3荷重開始となり,初回評価を実施した.可動域は自動運動にて右足関節背屈5°底屈15°,右母趾趾節関節屈曲5°伸展0°であった.また,超音波画像診断装置(以下,エコー)にて,Kager`s fat pad(以下KFP)の可動性低下を認めた.可動域の制限因子は,1ヶ月程度の不動期間では軟部組織の変化に由来した制限が優位になる事や,長期固定後の足関節背屈制限は,アキレス腱以外の組織が関与している事が多い.また,ギプス固定期間中の母趾伸展運動が可動域制限に対して,予防効果があると報告している.KFPはアキレス腱パート,長母趾屈筋パート,ウェッジパートに分けられ,長母趾屈筋パートはアキレス腱との滑走やウェッジパートの運動に寄与している.本症例は伸筋腱断裂を合併しており,固定期間中の足趾運動が積極的に実施できず,長母趾屈筋の滑走低下によるKFPの可動性低下が足関節可動域制限の要因であると考えた.

【介入と結果】

 術後より足関節ギプス固定されており,リハビリ介入時は患肢完全免荷,足関節・足趾関節運動禁止であった.介入当初は,創部炎症反応・全身状態に合わせて松葉杖歩行獲得を図った.一般的には,ギプス固定期間中の足関節可動域制限予防に足趾運動を促すが,本症例は第1・2伸筋腱断裂を合併しており,足趾運動は40病日まで行えなかったが,主治医に相談し,ギプスのアキレス腱部を開窓し軟部組織への徒手療法を実施し,55病日のギプスカット後より関節運動に合わせて実施した.徒手療法はエコーで可視化しKFPの動態を確認しつつ行った.松葉杖歩行獲得後,58病日に退院し,64病日から外来での介入を開始した.その後,78病日に足関節・足趾関節他動運動可能,106病日に全荷重可能となった.自主練習指導として,タオルギャザーで足趾運動を促した.127病日での最終評価では,他動運動にて右足関節背屈15°底屈30°,右母趾趾節関節屈曲15°伸展5°,KFPの可動性低下も改善し,独歩獲得・仕事復帰した.

【結論】

 第1中足骨骨折に伸筋腱断裂を合併した症例は6ヶ月で疼痛なく独歩可能になった報告があるが,その他の報告は散見できず稀な病態であるといえる.今回,長期ギプス固定後に関節可動域制限を生じた症例を担当し,軟部組織の動態をエコーで可視化し評価し,徒手療法を行う際にも軟部組織の反応を視覚的に確認した結果,早期可動域獲得・独歩獲得につながったと考える.

【倫理的配慮,説明と同意】

 症例報告の実施にあたり,対象者に十分な説明をし,同意を得た.

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