[P-9-04] 右下腿切断に対して下腿義足を作成し包括的アプローチにより自宅復帰した一症例
【症例紹介】
症例は50歳代、糖尿コントロール不良にて右足部を発端としたガス壊疽を契機に敗血症性ショックとなりA病院へ救急搬送。右足部が壊死し、多量の排膿を認めた。さらにHbA1c13.5%と高値でありCTでは下腿にガス産生著明でX日緊急下腿切断術施行。X+35日当院回復期病棟転院。入院前ADLは全て自立。派遣の営業職であったが、今回の入院で契約解除、生活保護申請となった。家屋環境は足の踏み場もなく不衛生な環境で、今回生活保護申請に伴い住居変更が必要であった。
【評価とリーズニング】
断端状態:軽度浸出液(+)、未抜糸。腫脹:健側と比較し+2.0㎝~3.0㎝と成熟不良。断端長:外的断端長15.5㎝、機能的断端長13.5㎝。幻視:実台型。幻肢痛:軽度(+)。ROM-t:右股関節伸展10°、右膝関節-5°。MMT(R/L):腸腰筋5/5、中殿筋3/4、大殿筋4/4、大腿四頭筋3/5。握力(R/L):16㎏/17㎏。片脚立位保持:困難。歩行:松葉杖歩行軽介助50m。義足はTSB式下腿義足選定。ライナー:アイスオスデルモ(Ossul社)、足部:バリフレックス(SHCH足部、Ossul社) 。
【介入と結果】
介入初期は断端に対して弾性包帯によるソフトドレッシング法を行い、断端の成熟を促した。その間患部外筋力強化。松葉杖歩行練習。拘縮の予防・改善を図った。X+59日断端の腫脹軽減。成熟改善し抜糸を行い、シリコンライナー装着開始。2週間装着期間を経て皮膚トラブルが無い事を確認し、X+76日仮義足を作成。仮義足完成後。立位、歩行練習開始。平行棒内歩行、歩行器歩行、杖歩行、独歩と段階的に歩行練習を実施し、毎週義肢装具士とソケット、チューブ、足部の調整を行った。X+124日本義足を作成。本義足完成後、屋外・応用歩行などを中心に行い最終屋外独歩1時間以上歩行可能となった。自宅退院後の義足生活を想定した生活支援のため看護師による断端のセルフケア指導や生活習慣指導などを実施。また入院期間中住居変更が必要であり、義足生活に適した環境調整を行った。 X+160日自宅退院。退院後、外来にて義足チェックや訪問看護による生活指導、糖尿病管理など義足生活のフォローアップを実施。結果、糖尿コントロール良好にて義足生活を維持することが出来た。
【結論】
Norgenらによると糖尿病を起因とした下腿切断後の予後として再度大腿まで切断まで至るのが15%、対側の下腿切断が同じく15%、死亡に関しては30%と報告している。そのため糖尿病を起因とした下腿切断後の日常生活維持には理学療法士による義足歩行の獲得だけでなく、生活習慣の改善やセルフケアの獲得が必要である。本症例は入院期間中看護師による生活指導、医療ソーシャルワーカーによる社会資源の利用、義肢装具士による義足作成・調整、さらに訪問看護による退院後のフォローアップなど包括的な支援・アプローチを行ったことが、義足生活を維持出来たと考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
本発表はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則に配慮し、本人に説明の上、同意を得た。
症例は50歳代、糖尿コントロール不良にて右足部を発端としたガス壊疽を契機に敗血症性ショックとなりA病院へ救急搬送。右足部が壊死し、多量の排膿を認めた。さらにHbA1c13.5%と高値でありCTでは下腿にガス産生著明でX日緊急下腿切断術施行。X+35日当院回復期病棟転院。入院前ADLは全て自立。派遣の営業職であったが、今回の入院で契約解除、生活保護申請となった。家屋環境は足の踏み場もなく不衛生な環境で、今回生活保護申請に伴い住居変更が必要であった。
【評価とリーズニング】
断端状態:軽度浸出液(+)、未抜糸。腫脹:健側と比較し+2.0㎝~3.0㎝と成熟不良。断端長:外的断端長15.5㎝、機能的断端長13.5㎝。幻視:実台型。幻肢痛:軽度(+)。ROM-t:右股関節伸展10°、右膝関節-5°。MMT(R/L):腸腰筋5/5、中殿筋3/4、大殿筋4/4、大腿四頭筋3/5。握力(R/L):16㎏/17㎏。片脚立位保持:困難。歩行:松葉杖歩行軽介助50m。義足はTSB式下腿義足選定。ライナー:アイスオスデルモ(Ossul社)、足部:バリフレックス(SHCH足部、Ossul社) 。
【介入と結果】
介入初期は断端に対して弾性包帯によるソフトドレッシング法を行い、断端の成熟を促した。その間患部外筋力強化。松葉杖歩行練習。拘縮の予防・改善を図った。X+59日断端の腫脹軽減。成熟改善し抜糸を行い、シリコンライナー装着開始。2週間装着期間を経て皮膚トラブルが無い事を確認し、X+76日仮義足を作成。仮義足完成後。立位、歩行練習開始。平行棒内歩行、歩行器歩行、杖歩行、独歩と段階的に歩行練習を実施し、毎週義肢装具士とソケット、チューブ、足部の調整を行った。X+124日本義足を作成。本義足完成後、屋外・応用歩行などを中心に行い最終屋外独歩1時間以上歩行可能となった。自宅退院後の義足生活を想定した生活支援のため看護師による断端のセルフケア指導や生活習慣指導などを実施。また入院期間中住居変更が必要であり、義足生活に適した環境調整を行った。 X+160日自宅退院。退院後、外来にて義足チェックや訪問看護による生活指導、糖尿病管理など義足生活のフォローアップを実施。結果、糖尿コントロール良好にて義足生活を維持することが出来た。
【結論】
Norgenらによると糖尿病を起因とした下腿切断後の予後として再度大腿まで切断まで至るのが15%、対側の下腿切断が同じく15%、死亡に関しては30%と報告している。そのため糖尿病を起因とした下腿切断後の日常生活維持には理学療法士による義足歩行の獲得だけでなく、生活習慣の改善やセルフケアの獲得が必要である。本症例は入院期間中看護師による生活指導、医療ソーシャルワーカーによる社会資源の利用、義肢装具士による義足作成・調整、さらに訪問看護による退院後のフォローアップなど包括的な支援・アプローチを行ったことが、義足生活を維持出来たと考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
本発表はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則に配慮し、本人に説明の上、同意を得た。
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