[PG-19-04] 荷重方法の違いによる下肢筋活動の特徴について~Tilt tableと松葉杖による検討~
【背景と目的】
下肢運動器疾患において、長期間にわたる固定や免荷は、歩行能力低下につながることが多い。一般的な歩行練習は、平行棒や松葉杖、体重免荷装置を用いた免荷・荷重歩行練習が実施されている。一方、Tilt table(以下,TILT)は早期立位練習や起立性低血圧の改善等に使用されることが多いが、歩行練習としての報告は少ない。本研究の目的は、荷重方法の違いによる下肢筋活動を調査し、部分荷重時期に対する歩行練習を検討することである。
【方法】
健常男性10名を対象とした。
測定動作は、全荷重及び1/2部分荷重での足踏み動作とし、部分荷重方法はTILT及び松葉杖とした。足踏み動作は、メトロノームを用いて100bpmの速度で統一した。なお、TILTでは、1/2部分荷重となる角度に調整を行い、体重計を用いて確認した。各動作における下肢筋活動量の測定は、表面筋電図(P-EMGplus)を用いて行った。測定筋は大殿筋、中殿筋、大腿直筋、内側広筋、大腿二頭筋、半腱様筋、前脛骨筋、腓腹筋外側頭とした。各筋の最大収縮時の筋活動はMMTの肢位に準じて測定した。各動作における筋活動量は、立脚時の筋活動を全波整流平滑化処理した後に積分値を算出した。また、足踏み動作開始から各筋の収縮開始までを収縮反応時間として計測した。
統計解析は、各筋の最大収縮時と各動作時の筋活動量の割合及び収縮反応時間について、Kruskal-Wallis検定及び多重比較を用いた。なお、有意水準は5%とした。
【結果】
各筋の筋活動において、大殿筋は松葉杖(6.0±4.4%)及びTILT(8.0±4.7%)で全荷重(14.1±5.9%)より低かった。半腱様筋は松葉杖(10.7±4.3%)で全荷重(15.0±6.7%)より低かった。腓腹筋外側頭は松葉杖(7.1±3.8%)で全荷重(19.8±5.4%)及びTILT(15.8±5.9%)より低かった。
各筋の収縮反応時間において、中殿筋は松葉杖(0.8±0.2秒)で全荷重(0.6±0.1秒)及びTILT(0.6±0.1秒)より高かった。半腱様筋は松葉杖(0.7±0.1秒)で全荷重(0.4±0.2秒)より高かった。腓腹筋外側頭は松葉杖(0.8±0.2秒)で全荷重(0.5±0.09秒)及びTILT(0.5±0.1秒)より高かった。
【結論】
TILTでの足踏み動作は、全荷重に比べ筋活動量が低い傾向にあるが、松葉杖より高い筋活動量を示した。また、収縮反応時間において、TILTでの足踏み動作は全荷重時と有意な差がなかったことから、全荷重と類似したタイミングでの筋活動が得られたと考える。
TILTは傾斜角度によって荷重量調整が容易であり、支持基底面が広く立位が不安定な人に対しても早期から部分荷重歩行練習ができると考える。
下肢運動器疾患において、TILTを用いた部分荷重歩行練習は正常歩行獲得に向けて有用と考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
大阪河﨑リハビリテーション大学卒業研究倫理審査委員会の承認を得た上で、対象者に研究の目的・方法を説明し同意を得た(承認番号OKRU19-B155)。
下肢運動器疾患において、長期間にわたる固定や免荷は、歩行能力低下につながることが多い。一般的な歩行練習は、平行棒や松葉杖、体重免荷装置を用いた免荷・荷重歩行練習が実施されている。一方、Tilt table(以下,TILT)は早期立位練習や起立性低血圧の改善等に使用されることが多いが、歩行練習としての報告は少ない。本研究の目的は、荷重方法の違いによる下肢筋活動を調査し、部分荷重時期に対する歩行練習を検討することである。
【方法】
健常男性10名を対象とした。
測定動作は、全荷重及び1/2部分荷重での足踏み動作とし、部分荷重方法はTILT及び松葉杖とした。足踏み動作は、メトロノームを用いて100bpmの速度で統一した。なお、TILTでは、1/2部分荷重となる角度に調整を行い、体重計を用いて確認した。各動作における下肢筋活動量の測定は、表面筋電図(P-EMGplus)を用いて行った。測定筋は大殿筋、中殿筋、大腿直筋、内側広筋、大腿二頭筋、半腱様筋、前脛骨筋、腓腹筋外側頭とした。各筋の最大収縮時の筋活動はMMTの肢位に準じて測定した。各動作における筋活動量は、立脚時の筋活動を全波整流平滑化処理した後に積分値を算出した。また、足踏み動作開始から各筋の収縮開始までを収縮反応時間として計測した。
統計解析は、各筋の最大収縮時と各動作時の筋活動量の割合及び収縮反応時間について、Kruskal-Wallis検定及び多重比較を用いた。なお、有意水準は5%とした。
【結果】
各筋の筋活動において、大殿筋は松葉杖(6.0±4.4%)及びTILT(8.0±4.7%)で全荷重(14.1±5.9%)より低かった。半腱様筋は松葉杖(10.7±4.3%)で全荷重(15.0±6.7%)より低かった。腓腹筋外側頭は松葉杖(7.1±3.8%)で全荷重(19.8±5.4%)及びTILT(15.8±5.9%)より低かった。
各筋の収縮反応時間において、中殿筋は松葉杖(0.8±0.2秒)で全荷重(0.6±0.1秒)及びTILT(0.6±0.1秒)より高かった。半腱様筋は松葉杖(0.7±0.1秒)で全荷重(0.4±0.2秒)より高かった。腓腹筋外側頭は松葉杖(0.8±0.2秒)で全荷重(0.5±0.09秒)及びTILT(0.5±0.1秒)より高かった。
【結論】
TILTでの足踏み動作は、全荷重に比べ筋活動量が低い傾向にあるが、松葉杖より高い筋活動量を示した。また、収縮反応時間において、TILTでの足踏み動作は全荷重時と有意な差がなかったことから、全荷重と類似したタイミングでの筋活動が得られたと考える。
TILTは傾斜角度によって荷重量調整が容易であり、支持基底面が広く立位が不安定な人に対しても早期から部分荷重歩行練習ができると考える。
下肢運動器疾患において、TILTを用いた部分荷重歩行練習は正常歩行獲得に向けて有用と考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
大阪河﨑リハビリテーション大学卒業研究倫理審査委員会の承認を得た上で、対象者に研究の目的・方法を説明し同意を得た(承認番号OKRU19-B155)。
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