第33回大阪府理学療法学術大会

Presentation information

oral session

[WO-2] WO-2

Sun. Jul 11, 2021 10:35 AM - 11:25 AM web会場②(ウェビナー1000名) (web会場②)

座長:山野 宏章(大阪行岡医療大学)

10:45 AM - 10:55 AM

[WO-2-02] 右変形性膝関節症に対しTKA施行された一症例〜足部・体幹に着目して〜

*鎌田 優雅1、立花 美香1 (1. 堺若葉会病院)

【症例紹介】

本症例は82歳女性、手術・加療目的で当院入院し、右膝OAに対しTKAを施行。術前動作レベルは屋外杖なし歩行自立、階段昇降二足一段自立、自宅から450m先のスーパーまでは膝痛認めるもサイドキャリー使用し歩行可能、2.3km先の病院までは膝痛自制不可のためタクシーを利用。X線画像所見よりFTA181°、K-L分類Grade2の内側型膝OAを呈しており、下部胸椎から上部腰椎にかけて軽度左凸の側屈を認めた。主訴は「右膝が痛い」、HOPEは「痛みなくスーパーまで歩きたい」であった為、NEEDを「1㎞の実用歩行獲得」とした。

【評価とリ-ズニング】

術前はROM(単位°)右膝屈曲145伸展-5、MMT右膝屈曲4-伸展4、体幹屈曲・回旋3、VAS安静時36/100歩行時85/100、10m杖なし歩行14.2秒25歩、最大歩行距離約450m、内反ストレステスト右陽性、膝関節JOAスコア70/100点であった。右MStの右膝内側部痛に対し、荷重の増加や体幹の抗重力伸展活動が乏しく右下肢支持が不十分になり下腿外側傾斜が出現することで、膝内側に圧縮ストレスが増加していることが原因と考察。TKA施行後、FTA176°、膝可動域運動、膝伸展筋力増強運動、歩行動作練習に加え、腹筋群筋力増強運動、右腰方形筋・腰部脊柱起立筋ストレッチを実施した。結果、ROM術後14日で右膝屈曲120伸展0、MMT術後21日で右膝伸展4+体幹屈曲・回旋4に改善するも、VASは術後21日でも歩行時38/100と残存していた。そこで再評価を行い、足部に着目すると右Leg-Heel Alignment(以下:LHA)10°と回内足を呈していた。その為、右足部回内の上行性運動連鎖により下腿内旋し半腱・半膜様筋が過剰収縮を生じていたことが疼痛の主原因であると考えた。

【介入と結果】

術後21日ではROM右膝屈曲120伸展0、MMT右膝屈曲4伸展4+体幹屈曲・回旋4、VAS歩行時38/100、10m杖なし歩行15.0秒27歩であった。膝・体幹へのアプローチに加え回内足に対し、載距突起下へのパッドの挿入による回外誘導を行った。結果、LHA 5°となり術後25日の評価では歩行時VAS0/100、10m杖なし歩行12.3秒25歩、膝関節JOAスコア80/100点、最大歩行距離約1㎞と改善を認め術後25日で退院。 退院後は他院にて外来理学療法継続となった。

【結論】

本症例は内側型膝OAであり、術前は歩行時の右膝内側への圧縮ストレスを軽減する為、右足部を回内させ荷重支持を外側に偏移させていたと考える。TKA施行、膝・体幹に対する理学療法により右膝アライメント・関節可動域・筋力改善、疼痛軽減が認められた。しかし、術後21日でも疼痛残存しており、術前は疼痛回避として用いていた回内足による上行性運動連鎖が術後、半腱・半膜様筋の過剰収縮による鵞足部痛の原因となったと考えた。そこで、膝・体幹に加え足部にアプローチした結果、歩行時の疼痛消失に繋がったと考える。

【倫理的配慮、説明と同意】

本発表について説明し書面にて同意を得た。

Please log in with your participant account.
» Participant Log In