1:05 PM - 1:15 PM
[O-04-4] 下垂足を呈した脳卒中片麻痺患者に対する有効な短下肢装具の検討
Keywords:短下肢装具、Gait Solution Design
【症例紹介】
50歳代男性、身長175cm、体重85.5kg。テレビ鑑賞中に右上下肢の脱力、構音障害、顔面のしびれを自覚し救急搬送。左中大脳動脈領域の脳梗塞を発症し右片麻痺を呈した。15病日目に当院転院。MRI画像(DWI)より左放線冠に高吸収域を認めた。発症時下肢BRSⅢ。既往歴は高血圧、慢性腎不全。発症前は営業職をされておりADLは自立。復職希望あり屋外歩行の獲得が必要。
【評価とリーズニング】
初期評価では下肢BRS:Ⅲ、MMT(Rt):腸腰筋2、大腿四頭筋2、前脛骨筋0、下腿三頭筋2、MAS:右足関節底屈1、感覚障害なし、高次脳機能障害なし。H-DSR:30。ADLは起居自立、移乗見守り、移動は車椅子自立。裸足歩行は中等度介助。歩容は麻痺側振り出し可能。踵接地は位置が定まらず前足部接地。立脚後期は反張膝が生じていた。本症例は左放線冠の梗塞により右下肢運動麻痺を呈した。そのため歩行が非麻痺側下肢優位になっていると考えた。これに対し麻痺側への荷重を促すためにKAFOを用いた歩行練習が必要と考えた。
【介入と結果】
KAFOを使用した歩行練習により体幹支持性向上を認め26病日目より金属支柱付き短下肢装具を用いた歩行練習を開始。麻痺側下肢支持性向上を認め44病日目にジレット継手付き短下肢装具にて杖歩行自立となった。機能面としては下肢BRSⅣと向上、MMT(Rt):腸腰筋5、大腿四頭筋5、前脛骨筋0、下腿三頭筋4。10m歩行:16.6秒。装具装着下での歩容に関してフットスラップは生じるも踵接地が可能となった。しかし前脛骨筋の筋発揮は認められず裸足歩行では下垂足を呈していた。本症例は復職希望があり屋外での活動が想定されるため、退院後の高活動が予測された。義肢装具士に相談し生活用装具として短下肢装具Gait Solution Design(GSD)を検討する運びとなる。GSDは制動力が少なく高度な歩行能力が求められる。また、本症例のフットスラップに対しては油圧調節での底屈制動にてアプローチが出来る可能性があると考えた。検討方法としてGait Judge System(GJS)を用いた。50病日目にGSDでの装具歩行を評価。踵接地後に前脛骨筋の僅かな筋発揮を確認。そのためGSDを用いた歩行練習を継続。62病日目に再度GJSを用いて評価。踵接地に合わせ前脛骨筋のより明確な筋発揮を確認。そのため本人用装具としてGSDを作成。退院時の最終評価(104病日目)では下肢BRS:Ⅵ、MMT(Rt):前脛骨筋3、下腿三頭筋5、MAS:右足関節底屈1。10m歩行:6.5秒。歩行に関して屋内は裸足にてフットスラップ残存も踵接地可能となり独歩自立、屋外はGSD装着にてフットスラップ消失し立脚期改善を認め杖歩行自立。退院後は装具外来にて装具使用に関して評価。問題なく経過していた。
【結論】
生活用装具作成にあたりGJSを使用し客観的に評価を行ったこと、退院後に歩容や装具に問題が生じないようフォローアップ体制を整えたことは本症例に対し有効であったと考える。
50歳代男性、身長175cm、体重85.5kg。テレビ鑑賞中に右上下肢の脱力、構音障害、顔面のしびれを自覚し救急搬送。左中大脳動脈領域の脳梗塞を発症し右片麻痺を呈した。15病日目に当院転院。MRI画像(DWI)より左放線冠に高吸収域を認めた。発症時下肢BRSⅢ。既往歴は高血圧、慢性腎不全。発症前は営業職をされておりADLは自立。復職希望あり屋外歩行の獲得が必要。
【評価とリーズニング】
初期評価では下肢BRS:Ⅲ、MMT(Rt):腸腰筋2、大腿四頭筋2、前脛骨筋0、下腿三頭筋2、MAS:右足関節底屈1、感覚障害なし、高次脳機能障害なし。H-DSR:30。ADLは起居自立、移乗見守り、移動は車椅子自立。裸足歩行は中等度介助。歩容は麻痺側振り出し可能。踵接地は位置が定まらず前足部接地。立脚後期は反張膝が生じていた。本症例は左放線冠の梗塞により右下肢運動麻痺を呈した。そのため歩行が非麻痺側下肢優位になっていると考えた。これに対し麻痺側への荷重を促すためにKAFOを用いた歩行練習が必要と考えた。
【介入と結果】
KAFOを使用した歩行練習により体幹支持性向上を認め26病日目より金属支柱付き短下肢装具を用いた歩行練習を開始。麻痺側下肢支持性向上を認め44病日目にジレット継手付き短下肢装具にて杖歩行自立となった。機能面としては下肢BRSⅣと向上、MMT(Rt):腸腰筋5、大腿四頭筋5、前脛骨筋0、下腿三頭筋4。10m歩行:16.6秒。装具装着下での歩容に関してフットスラップは生じるも踵接地が可能となった。しかし前脛骨筋の筋発揮は認められず裸足歩行では下垂足を呈していた。本症例は復職希望があり屋外での活動が想定されるため、退院後の高活動が予測された。義肢装具士に相談し生活用装具として短下肢装具Gait Solution Design(GSD)を検討する運びとなる。GSDは制動力が少なく高度な歩行能力が求められる。また、本症例のフットスラップに対しては油圧調節での底屈制動にてアプローチが出来る可能性があると考えた。検討方法としてGait Judge System(GJS)を用いた。50病日目にGSDでの装具歩行を評価。踵接地後に前脛骨筋の僅かな筋発揮を確認。そのためGSDを用いた歩行練習を継続。62病日目に再度GJSを用いて評価。踵接地に合わせ前脛骨筋のより明確な筋発揮を確認。そのため本人用装具としてGSDを作成。退院時の最終評価(104病日目)では下肢BRS:Ⅵ、MMT(Rt):前脛骨筋3、下腿三頭筋5、MAS:右足関節底屈1。10m歩行:6.5秒。歩行に関して屋内は裸足にてフットスラップ残存も踵接地可能となり独歩自立、屋外はGSD装着にてフットスラップ消失し立脚期改善を認め杖歩行自立。退院後は装具外来にて装具使用に関して評価。問題なく経過していた。
【結論】
生活用装具作成にあたりGJSを使用し客観的に評価を行ったこと、退院後に歩容や装具に問題が生じないようフォローアップ体制を整えたことは本症例に対し有効であったと考える。