1:30 PM - 1:40 PM
[O-06-2] 両側同時開大式高位脛骨骨切り術後,早期に歩行自立となった症例
Keywords:開大式高位脛骨骨切り術、大殿筋
【症例紹介】
両変形性膝関節症にて開大式高位脛骨骨切り術施行目的でX日に当院へ入院となった50歳代女性.X+21日に独歩50m自立となり,X+30日に自宅退院となった.
術前FTA(R/L)は181°/182°でROM-t(R/L)は膝関節屈曲140°/140°,膝関節伸展-5°/―5°,MMT(R/L)は大殿筋3/4,外旋筋3/3(R<L),膝伸展筋力はHand Held Dynamometerで測定し,右0.76kgf/kg,左0.48kgf/kg,疼痛部位は,両側膝関節内側でNRS(R/L)8/4であった.
【評価とリーズニング】
術後FTA(R/L)は174°/173°,術後2週目から歩行時に膝関節の違和感が出現,術後3週目には歩行時の右立脚初期から立脚中期にかけて右膝関節外側部にNRS5の疼痛が出現した.理学療法評価では,右外側広筋と右大腿二頭筋の筋緊張亢進が確認された.右大殿筋と右股関節外旋筋群はMMT3,膝伸展筋力は右0.23kgf/kg,左0.31kgf/kgであった.立位姿勢では大腿内旋位,下腿外旋位で歩容は体幹前傾位,右股関節内旋位で初期接地をむかえ,右荷重応答期から立脚中期で膝関節屈曲,大腿内旋位であった.歩行時の表面筋電図では,右初期接地時の大殿筋の筋活動が遅延を認めた.大腿外旋と下腿内旋誘導により,疼痛軽減の即時効果も認めた.
【介入と結果】
治療は大殿筋と外旋筋群と大腿四頭筋の筋力増強練習を実施し,歩行時の股関節内旋位と膝関節屈曲位の抑制を図った.加えてステップ練習と歩行練習を行った.
術後4週目のMMTは大殿筋4,外旋筋群4,膝伸展筋力は右0.38kgf/kg,左0.35kgf/kgへ改善しNRS2へと疼痛軽減が見られた.表面筋電図では初期接地時の大殿筋の筋活動は改善を認めた.独歩での10m歩行は9.51秒,16歩であった.
【結論】
術後,膝関節内反位から外反位へと姿勢が変化したことに加え,大殿筋と外旋筋の筋力低下により右初期接地時を股関節内旋位でむかえていたことや,大殿筋の筋収縮の遅延により相対的に下腿外旋位を助長していたと考える.更に,大腿四頭筋の筋力低下により膝関節の不安定性が生じ下腿外旋位を呈していたと考える.結果,外側広筋と大腿二頭筋が過活動となり疼痛が生じていたと考える.また大腿二頭筋が過活動となり下腿外旋位となることで膝関節外反モーメントが生じ,骨切り部への圧縮力が生じていたことも疼痛の原因だと考える.
両側同時の高位脛骨骨切り術後でも個々の状態に合わせた評価と介入をすることで,早期の歩行自立が可能であることが示唆された.
両変形性膝関節症にて開大式高位脛骨骨切り術施行目的でX日に当院へ入院となった50歳代女性.X+21日に独歩50m自立となり,X+30日に自宅退院となった.
術前FTA(R/L)は181°/182°でROM-t(R/L)は膝関節屈曲140°/140°,膝関節伸展-5°/―5°,MMT(R/L)は大殿筋3/4,外旋筋3/3(R<L),膝伸展筋力はHand Held Dynamometerで測定し,右0.76kgf/kg,左0.48kgf/kg,疼痛部位は,両側膝関節内側でNRS(R/L)8/4であった.
【評価とリーズニング】
術後FTA(R/L)は174°/173°,術後2週目から歩行時に膝関節の違和感が出現,術後3週目には歩行時の右立脚初期から立脚中期にかけて右膝関節外側部にNRS5の疼痛が出現した.理学療法評価では,右外側広筋と右大腿二頭筋の筋緊張亢進が確認された.右大殿筋と右股関節外旋筋群はMMT3,膝伸展筋力は右0.23kgf/kg,左0.31kgf/kgであった.立位姿勢では大腿内旋位,下腿外旋位で歩容は体幹前傾位,右股関節内旋位で初期接地をむかえ,右荷重応答期から立脚中期で膝関節屈曲,大腿内旋位であった.歩行時の表面筋電図では,右初期接地時の大殿筋の筋活動が遅延を認めた.大腿外旋と下腿内旋誘導により,疼痛軽減の即時効果も認めた.
【介入と結果】
治療は大殿筋と外旋筋群と大腿四頭筋の筋力増強練習を実施し,歩行時の股関節内旋位と膝関節屈曲位の抑制を図った.加えてステップ練習と歩行練習を行った.
術後4週目のMMTは大殿筋4,外旋筋群4,膝伸展筋力は右0.38kgf/kg,左0.35kgf/kgへ改善しNRS2へと疼痛軽減が見られた.表面筋電図では初期接地時の大殿筋の筋活動は改善を認めた.独歩での10m歩行は9.51秒,16歩であった.
【結論】
術後,膝関節内反位から外反位へと姿勢が変化したことに加え,大殿筋と外旋筋の筋力低下により右初期接地時を股関節内旋位でむかえていたことや,大殿筋の筋収縮の遅延により相対的に下腿外旋位を助長していたと考える.更に,大腿四頭筋の筋力低下により膝関節の不安定性が生じ下腿外旋位を呈していたと考える.結果,外側広筋と大腿二頭筋が過活動となり疼痛が生じていたと考える.また大腿二頭筋が過活動となり下腿外旋位となることで膝関節外反モーメントが生じ,骨切り部への圧縮力が生じていたことも疼痛の原因だと考える.
両側同時の高位脛骨骨切り術後でも個々の状態に合わせた評価と介入をすることで,早期の歩行自立が可能であることが示唆された.