第34回大阪府理学療法学術大会

講演情報

口述 一般演題

事前公開

[O-15] 一般演題(介護・学校・地域①)

2022年7月3日(日) 15:15 〜 16:15 会場7 (12階 1202会議室)

座長:北川 智美(四條畷学園大学)

15:35 〜 15:45

[O-15-3] 急性期から在宅までの継続したリハビリテーション介入により身体機能改善・活動性向上を認めた心不全患者の一例

村司 憲三朗, 本田 憲胤, 豊浦 尊真, 中上 和洋, 野村 知里, 大洞 佳代子 (北野病院リハビリテーション科)

キーワード:心不全、訪問リハビリテーション

【症例紹介】
症例は、83歳女性、入院前はデイサービス(週3回)の利用や自宅から300m程度の商業施設へ行くなど活動的であった。X-2ヵ月頃に腰部痛・下肢痛が増強し追加で鎮痛薬を処方された。その後、疼痛は改善するも心不全症状が出現した。X-17日に緊急入院し心不全治療およびリハビリテーションが開始となった。肥大型心筋症による拡張障害に加え、鎮痛薬の使用に伴う腎機能の低下が心不全症状出現の要因と考えられたため、利尿薬投与および鎮痛薬が変更となった。経過とともに、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)低下を認め呼吸苦は改善したが、腰痛に伴う活動性の低下を認めたため、疾病管理及び入院前の手段的日常生活動作(IADL)の再獲得を目的に訪問リハビリテーション(訪問リハ)が導入となり、X日に自宅退院となった。
【評価とリーズニング】
退院時胸部レントゲン所見では、肺うっ血・胸水貯留は改善を認め、血液検査所見は、BNP507.7pg/mL、クレアチニン0.9mg/dl、尿素窒素15.7mg/dlであった。腰椎MRIでは、L3/4脊柱管狭窄の所見があった。初期理学療法評価(X+2日)に実施し身長143.6cm、体重47.9kg、握力(右/左)8kg/8kg、Short Physical Performance Battery(SPPB)6/12点であり、退院後1ヶ月時点でのLife-Space Assessment(LSA)は22点であった。基本動作は自立していたが、終始腰痛に対する不安発言があった。活動量を低下させていた要因は、入院中の呼吸苦・疼痛からの臥床に伴う廃用症候群と腰痛出現に対する恐怖心と考えた。腰痛出現予防をしながら運動療法を行うことで、恐怖心の軽減につながり活動性の向上につながると考え介入を行った。
【介入と結果】
訪問リハ頻度は週2回(40分/回)であり、退院後より3ヵ月間介入した。介入内容心不全増悪予防のための疾病管理、腰痛出現予防のための生活指導、ベッドからトイレの支持物の調整・ベッド周囲の環境調整、運動療法、自主運動の指導を実施した。X+3ヶ月時点の血液検査所見では、NT-proBNP3439pg/mL、クレアチニン0.95mg/dl、尿素窒素17.0mg/dlであり、心不全増悪することなく経過した。身体機能評価は、握力(右/左)12.8kg/14.9kg、SPPB11/12点と改善を認め、自身で洗濯や掃除などが可能となりIADLの向上を認めた。屋外活動としてもデイサービスを週2回で再開し、家族同行のもとバギー歩行で通院・買い物の実施など活動性の向上を認めた。退院後3ヶ月時点でのLSAは31点であった。
【結論】
今回、退院後も継続した訪問リハにより身体機能の改善を認めた。さらに、腰痛出現に対し生活指導を行い本人の恐怖心は軽減し自宅内での活動性の向上を認め、IADL面が向上につながったと考える。