第34回大阪府理学療法学術大会

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Olal session

事前公開

[O-18] 一般演題(呼吸②)

Sun. Jul 3, 2022 4:00 PM - 4:45 PM 会場6 (12階 特別会議場)

座長:山科 吉弘(藍野大学)

4:20 PM - 4:30 PM

[O-18-3] COVID‐19後廃用症候群患者における、気管切開術の有無とADLの関連性

中村 俊介, 小林 勇太, 田中 厚吏, 堀 平人 (東和病院リハビリテーション科)

Keywords:COVID‐19後廃用症候群、回復期リハビリテーション

【背景と目的】
新型コロナウイルス感染症(以下:COVID‐19)に感染後、約5%が発症後10日以降に肺炎が重症化、人工呼吸管理を要するとされている。呼吸不全により長期的に呼吸管理を必要とする場合に気管切開術が適応となる。当院の回復期リハビリテーション病棟(以下:回リハ病棟)ではCOVID‐19に感染し自宅・施設復帰が困難となった患者数が増加した。現状、COVID‐19の疫学や病態等の報告はされているがADLとの関連性を報告しているものは少ない。そこで本研究はCOVID‐19に罹患された患者、気管切開術の有無に着目し入棟時および退棟時におけるFIM運動項目(FIM‐Motor、以下:M‐FIM)との関連性について検討したので報告する。
【方法】
2021年4月から12月の期間内に当院の回リハ病棟に入棟しCOVID‐19後廃用症候群患者を対象とした。その内、既往歴に脳血管疾患、下肢切断を持つ患者及び急性期に転院した患者は除外した。対象者を気管切開術を受けた気切群と受けていない気切無し群の2群に分け、発症から回リハ病棟に入棟までの日数、在院日数、ADL指標として入棟時および退棟時M‐FIMを比較検討した。検定は正規性の検定後、2標本t検定、Mann Whitney U testを用いた。解析には改変Rコマンダー4.0.2を引用し、有意水準を5%未満とした。
【結果】
対象は17名(男性11名、女性6名、年齢67.4±8.1歳)であった。そこから気切群10名と気切無し群7名に群別された。発症から回リハ病棟に入棟までの日数(気切群52.7±24.3日、気切無し群32.0±8.1日)は気切群で有意に長かった(p<0.05)。しかし在院日数(気切群70.7±21.5日、気切無し群55.6±26.4日)では有意差を認めなかった。入棟時M‐FIMでは移動・整容・更衣下を除き、気切群での平均値は低い傾向に示し、トイレ動作(気切群2.3±1.8点、気切無し群4.1±2.0点)では有意差を認めた(p<0.05)。退棟時M‐FIMでは全てにおいて有意差を認めなかった。
【結論】
気切群では発症から回リハ病棟に入棟するまでの日数が延長することや入棟時M‐FIMではトイレ動作が有意に低かった。また、その他入棟時M‐FIMも平均値は低かったことから長期的な呼吸管理を要し、臥床傾向となり廃用が進行したと考えられる。しかし在院日数、退棟時M‐FIMに有意差を認めなかったことから、回リハ病棟へ入棟されることで、自宅復帰に必要なADLの獲得や介助量の軽減が図れたと考えられる。また、排泄行為に関わる自立度が自宅復帰に関与するとも報告されていることから、気管切開術を受けたCOVID‐19後廃用症候群の患者においても、早期からトイレ動作に着目したリハビリテーションを提供する必要があると考えられる。