第34回大阪府理学療法学術大会

講演情報

ポスター 一般演題

事前公開

[P-01] ポスター演題①

2022年7月3日(日) 12:35 〜 13:25 会場8 (12階 12Fホワイエ)

座長:大槻 哲也(訪問看護ステーションMARE)

12:35 〜 12:47

[P-01-1] 深層外旋六筋と中殿筋が片脚膝立ち位保持に与える影響

岩間 亮也, 清水 大介, 今井 章人, 小森 紗恵 (医療法人 晋救館 和田病院リハビリテーション科)

キーワード:HHD、インナーマッスル

【背景と目的】
股関節の安定性には股関節外旋筋力が関与しているとの報告がある。しかし、深層筋である股関節外旋六筋がバランスに関与していると報告されている文献は少ない。本研究では、深層筋である股関節外旋六筋と表層筋である中殿筋どちらが片脚膝立ち位保持のバランスに与える影響が大きいか明らかにする事を目的とした。
【方法】
健常成人15人(男性9例・女性6例、平均年齢36±17歳)を深層外旋六筋トレーニング群、中殿筋トレーニング群、トレーニング非実施群の3群に分けた。深層外旋六筋群は股関節外旋運動、中殿筋群は股関節外転運動をそれぞれ週3回3週間実施し、介入前後で筋力測定、片脚膝立ち位保持時間を測定した。筋力測定はHHD(徒手筋力計モービィMT‐100:酒井医療社製)を用いた。深層外旋六筋に対しては股関節屈曲90°肢位より股関節外旋運動、中殿筋に対しては股関節外転運動で最大筋力を測定した。片脚膝立ち位保持の軸足については「ボールを蹴る足」の反対側として定義した。片脚膝立ち位保持時間の開始肢位は片膝立ち位にて前胸部で腕を組み、股関節中間位、膝関節90°屈曲位になる肢位とした。課題遂行にあたり、①身体の一部が床に接した場合、②前胸部での腕組みが外れた場合、③保持時間が60秒に達した場合は測定終了とした。トレーニング実施群(深層外旋六筋群・中殿筋群)の筋力改善率とトレーニング非実施群の3群による片脚膝立ち位保持時間を比較する為、対応のあるT検定を用いて行い、有意水準は5%未満とした。
【結果】
3週間のトレーニング実施後、深層外旋六筋群7.2kgf(p<0.05) 、中殿筋群5.3kgf(p<0.05)の筋力増強を認めた。また片脚膝立ち位保持時間は、深層外旋六筋群18.9±9.2秒(p<0.05)、中殿筋群7.1±10.2秒の向上を認めた。トレーニング非実施群では片脚膝立ち位保持時間の変化は認めなかった。
【結論】
本研究のトレーニング群では両群において筋力の向上を認めたが、片脚膝立ち位保持時間では深層外旋六筋群のみ有意差を認めた。先行研究より深層外旋六筋は関節に求心方向の圧迫力を与える事で、関節の安定化に寄与していると報告されている。本研究においても、深層外旋六筋の筋力向上により、股関節求心方向の圧迫力が向上し、片脚膝立ち位保持時間の向上に影響を及ぼしたと考えられる。しかし股関節外旋運動には、大殿筋や中殿筋後部線維も股関節外旋運動に大きく関与すると言われている。今後は筋電図を用いた客観的なデータにより、それらの関係性をより精査する必要があると考えられる。